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カテゴリ:ST
言葉の教室
言葉の教室の先生の下での研修も年が明けてから第二クールに突入しました。1月からは、同じ先生の下で週に一回、同じ子ども達のトレーニングの様子を継続的に見学させてもらっています。 先日、trollerilådan(トゥロッレリーローダン)という、画期的なPCの構音(発音)プログラムを見せてもらった。この中には、スウェーデン語の9母音及び、構音しづらい子音(例:sj(フェー)音)が音韻→文レベルで構成されている。子どもは例題を聞いた後復唱をするのですが、その際、構音、抑揚を機械が聞き分け、視覚的にフィードバックを行う仕組みとなっている。また、録音が可能であり、その直後に自分の構音を聴くこともできます。つまり、聴覚的及び視覚的に構音をフィードバックしながら、正しい構音を強化していこう、という目的のプログラムなのです。 日本で言う、失語症者、発語失行(発話のプログラミングの障害)者向けのPCプログラムを髣髴させますが、上手に構音できると鉢植えの花が満開になる、といったかわいらしいフィードバックもあり、子どもはゲーム感覚で楽しみながら構音の練習が出来ます。私も試させてもらったが、外国人の構音練習としても有効と思われます。思わず、「私もほしい!」といってしまいました。 国を超えて 先日、在瑞日本人で、まもなく言語療法士になろうとしている方とお会いする機会を得ました。日瑞のST事情について、時間が経つのも忘れて情報交換をしましたが、スウェーデンで言語療法士になるのは、スウェーデン人でも大変難しい、といわれている中、外国人というハンデを乗り越え、子育てと勉強を両立されている彼女に、大いに刺激を受けました。 日本ではここ数年でSTの職場も大幅に増えていますが、まだまだ専門的ケアを必要としている方に対するSTの数は足りないといわれています。興味深かったのが、福祉大国といわれているスウェーデンでも同様の現状があることでした。 地方自治が進んでいるスウェーデンにおいては、各自治体によって裕福さも異なります。各自治体には必ず健康保健センターがあり、裕福な自治体ではそこにSTを配置することができますが、自治体によっては各分野のリハビリスタッフを配置する余裕がなく、その場合は、残念ながら、目に見えない障害であることばの障害に関する対応がどうしても後回しになりやすいようです。 というわけで、例えば脳卒中で入院した場合、日本では、急性期(救急車で運ばれる)病院の後、現在は多くのケースで転院(所)・自宅からの通院(所)・訪問リハビリといった継続したリハビリの実施が可能ですが、スウェーデンでは、自治体によってはことばのリハビリがまだ必要な場合も実施する場所がなくなってしまう、ということです。 また、上記と関連し、新卒のSTの就職事情としては、しばらくは産休の代理といった期間限定の雇用で、いろいろな場所で経験を積み、そのうちに一箇所での定職を得ることができるようになるそうです。 スウェーデンではSTになるために4年間の教育が必要であるが、3,4年では各領域での充実した実習が組み込まれているそうです。一連の話を通して、この国の専門分野に関する質の高い教育体制を素晴らしいと思う一方で、STの需要と供給がかみ合っていない現実がある、ということへの課題も感じました。この課題に対し、どのような取り組みがなされているのかについても今後見聞きしていければ、と思っています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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