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カテゴリ:業務日報
Tから電話。来週の前半に初めての録音が行われることが告げられた。オレは得正でカレーうどんを食いながら「あ、ホンマ。了解」と平静を装いつつ電話を切ったが、正直ちょっと緊張していた。だいじょぶか。オレ。社長のところで求人募集した女性と指定日時に待ち合わせ、ホテルにてライターKの書いた淫語満載の官能小説を朗読しながらオナニーをさせる。こちら側の欲しいテンションというか空気感をうまく女性に手短にわかりやすく説明できるだろうか?せっかくギャラ払ろてオナってもらっているのに録音機材(とくにマイクとか)がトラブってしもたらどないしよ。
女性のオナニーというのはたいていの場合、男性の思い描いているものよりかなり「地味」である。両足をピンとまっすぐ伸ばしたまま目を閉じてクリトリスをコリコリコリと優しく擦るだけでイってしまったりするもんや。音声だけなのでビジュアル面はどうでもええが、小声であればあるほど録音時には余計な雑音が入ったりもするのである。Tは補助的にバイブも用意しといたほうがいいんじゃないですか、というが、バイブというのはビックリするほど音がデカいのである。 オレが一番心配しているのは、女性がオレの存在が気になってオナニーに集中できないのではないか、ということで、女性は声優でもAV女優でもなんでもなく、ただの素人である。スタッフはオレ一人とはいえ、たぶん人前でオナニーするのは初体験かも知れない。緊張するやろな。オレが逆の立場なら間違いなく緊張する。なるべく地味な格好で出かけよう。ヒゲはちゃんと剃って行こう。あまり喋りすぎないようにしよう。とりあえずネガティブな印象を与えないように気をつけよう。路傍の石になろう。屁をこきたくなっても我慢しよう。女性もおそらく初めてであろうが、こちらとてこんな奇妙な仕事は今までにやったことがないのである。せめてオレだけでも緊張を隠し通さなければならない。不安感を取り除かなければ行けない。女性には所要時間は1時間ぐらいと伝えてあるとのこと。30分で空気和ませて、あと30分で録音。どうなんやろ。オレは女性の没頭を妨げぬよう死角の背後にいるべきなのか、それとも正面で指一本触れぬ安全性をアピールし続けるべきなのか。許されるのならばマイクだけセットして風呂場にでも籠っておきたいぐらいである。でもスタッフの姿が見えへんのはそれはそれで不安感を与えてしまうのではないか。 しかし、女性が「もっと奥まで・・・」とか「ヌラヌラした太いチンポをちょうだい」などと淫猥な言葉を吐きながら自慰をするベッドの脇で、オレがヘッドフォンを装着し、レコーダーのレベルメーターを凝視する姿はなんとも珍妙な光景である。と思う。その構図に萌えてくれる女性ならええねんけどな。 まぁとりあえず頑張ってみよう。やってみたらどないかなるやろ。 帰りにミナミのビックカメラにて、録音機材を買い揃える。集音マイク×2、レコーダー×2、経費に紛れてALESSANDROの高級ヘッドフォン(33000円ナリ!)も購入。これぐらいは大目にみてくれよ、社長。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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