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野の花も日々あれこれ考える

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2006年11月24日
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カテゴリ:ダンナとその家族
うちの殿は、お土産を買ってきて喜ばれることがめったにない。
それはもう、かなりの高い確率で「はずす」のだ。

「名物にうまいもの無し」なんて辛辣な言葉もあるが、それでもこれほどお土産の多様化した時代に、確実においしくないものを買って来れるのは、これはもう一種の才能ではないかと思う。

食べるもの以外もまるでダメだ。
着るものや身につけるものはことごとくサイズが合わないし、色や柄も「嫌がらせか?」と思うほど好みじゃない物を買ってくる。
オブジェ関係も、素直にその土地の民芸品とかにすればよいものを「ちょっとひねって…」なんていうスケベ心を起こすから「これは一体なんのつもり?どこに置くの?」というようなものばかりで、みなそのまま物置にしまわれると言う悲しい結末をたどる。

だから、我が家では殿が一人で遠方に出かけるときは、必ず
「いってらっしゃーい、気をつけてね~!お土産いらないからねー!!」
と送り出すことになっている。


で、昨日は殿が友人とコンサートを見るために(誰のコンサートかはいいたくない…恥)名古屋へ出かけたので、やはりいつものように
「お土産、買わないでね~!!」
と送り出したのだった。

…が。

夜10時をまわった頃、殿が電話をかけてきた。
「あのさー、帰るのは12時過ぎるから先に寝てて。でも実は、お土産買ってしまってんけど…。あ、でも、ほら、大丈夫大丈夫!あのな、ケーキやから。おいしいって評判のケーキ屋らしくって、行列できてたで。ほんで並んで買ってきたから。
たださぁ、ちょっと多く買いすぎたかも…チーズケーキとプリンとゼリーをつい4個ずつ…。賞味期限が明日みたいで…。」

へー。
夜中に賞味期限ギリギリの生洋菓子を大量に買ってきて、先に寝てろって、じゃあ誰が食べるのよ。
…ま、仕方ないな。
冷蔵庫に入れておいて、朝食べればいいか、チーズケーキだし。
とんでもないお土産よりは賞味期限がギリギリのおいしいケーキのほうがまだましかもな…。

そう思ったのが大間違いだった。

今朝、花子が「プリン食べる!」と嬉しそうに食べたのだが、一口食べて
「これ、プリン…?なんかさぁ、カスタードクリームそのままみたいやよ…。」と苦笑い。
それはちょっと前に流行った「ゆるいプリン」らしい。
プリンと呼べるような弾力はまったく見当たらず、ただひたすら甘く、そして恐ろしく牛乳臭い。

じゃあ、ゼリーなら…と食べてみたが、こちらは「大量の砂糖とライチエッセンスとを水で薄めてチョッピリのゼラチンで寄せてみました」と言うような大甘のゆるゆるゼリーで、中にライチの果肉とラズベリーとブルーベリーが浮かんでいる。
しかし、そのライチの果肉はゼリーの甘さでまったく味を感じないし、ラズベリーは種がガリガリと硬くて顔がゆがむほど酸っぱい。
ブルーベリーに至っては、皮ばかりが口の中にいやーな感触で残って、中はちょっと苦味がある。

殿は朝早く出かけてしまっていたので、子供達と私と3人でため息をついた。
そして、みな無理矢理飲み込んだプリンやゼリーの甘さに困り果てながら、食卓を解散したのだった。


私の心の中には、冷蔵庫の中のチーズケーキの箱が重くのしかかっていた。
しかし、さすがにチーズケーキの不味いのなんて、この世には存在しないだろうという淡い期待もあった。

私たちはグルメなほうではないので、コンビニやスーパーの、透明なプラスチックケースに2個ずつ入った安いケーキもおいしいと思ってよく食べている。
ケーキ屋さんのちょっといいケーキに比べたら、ちょっと味が物足りなかったりするけど、それはそれであっさりしていてうまいと思っているのだ。
だから、ケーキ屋さんのチーズケーキなら大丈夫だろうと高を括っていた部分も大いにあった。


ところが。

お昼にご飯を食べに帰ってきた殿が
「なあなあ、ケーキ食べた?もう食べた?おいしいから食べてよー。せっかく買ってきたんだからさー!」
としつこく催促するので、私と先日の参観日の代休で休みだった太郎とで食べることになった。
…と思ったら、太郎はご飯を食べたらすばやく二階に逃げた!

仕方なく一人で食べることになった。
それは、不自然なほどに真っ白なレアチーズケーキ。
持ち上げるとずしりと重い。
皿に取り分けて、フォークを入れ、一口ぱくりと食べる。

だ、だめだ。飲み込めない。
乳臭くて、中途半端に酸っぱくて、異常に重いレアチーズ。
こんなの食べたこと無い。

殿がニコニコして「どう?」と聞くので、やっとの思いで飲み込んで
「あ、あのさ、けっこう酸っぱいよね。それになんだかずっしり重い…」と言うと、殿は嬉しそうに
「な?うまいやろー!!みんなに食べさせたろうと思って買ってきたんやー。」とご満悦の表情で、再び仕事に出かけて行った。

いや、うまいとは一言も言ってないってば。

二階の吹き抜けから見ていた太郎が降りてきて「ちょっと食べてみるわ」とひとくち放り込んだかと思うと、口を真一文字に結んで目に涙をため、頭を左右にぶんぶん振っている。

飲み込んだら、口の中にいやーな感じのすっぱい膜が張っているようだ。
そしてすっぱ苦い後味だけがいつまでも私を悩ませる。
ねっとりと張り付くような嫌な味。
びっくりするほどおいしくないチーズケーキだった。

実はまだ冷蔵庫に3切れ残っている。
殿が帰ってくるまでになんとかしなければ…。
思い切って捨てるか?
それとも命がけでむりやり口に入れて飲み込むか?
あああぁぁぁぁぁ…。


花子が頑張って「一切れいきます!」と宣言して、太郎に拍手されている。
残るはあと二切れ。
だれか助けて…。





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Last updated  2006年11月24日 21時13分44秒
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