|
テーマ:ё・ぼ・や・き・ё(1794)
カテゴリ:世の中のあれこれ
今朝の新聞折り込みに、近所にできたばかりの学習塾の、冬期講習のちらしが入っていた。
そのチラシに枠で囲んだこんな文章が。 「先生たちは“普通に”全員『教育コーチング』中級以上の資格保有者です。安心して相談して下さい。」 普通に。 最近の子供達はよくこの言葉を使う。 それも「物事が通常通りである」という意味からもっと拡大した、非常にあいまいで感覚的な言葉として頻繁に。 「普通にすごい(すげぇ)」(感嘆、賞賛、あるいは自分に使ってプライドを表すつもり) 「普通に無理」(当然だ、基本だ、当たり前じゃないか、という意味を込めて、相手を少し見下したり、少々強く拒否しているつもり) 「普通にムカつくし」(強調・特化などの意味を付加しているわけではなく、いわゆる「枕詞」のようなもの。ただ「ムカつく」というよりも少しなにか味わいのある文章にしているつもり) 等々。 子供達にとって「普通に」は、感情を表現するのが面倒な時、あるいはそれを形容する言葉を知らない時、とりあえず「普通に○○」と言っておけば、なんとなく修飾したような気分になる便利な言葉なのだろうと思う。 そういう言葉ばかり使っていると表現力が乏しくなってしまう、という心配はもちろんあるだろうが、逆に考えると、この非常にあいまいでほとんど意味を持たない言葉に相手の微妙な心を理解できるとすれば、それはそれでなかなかの能力だし、言葉遊びとしては面白いのではないかと思う。 だが、いい歳をした大人が、きちんと内容を伝えるべき場で使うのはいかがなものかと、少し不快に感じている。 ましてや「塾」と言う広告主の性質を考えると、いくらなんでもこの表現はないだろう…と、広告という世界の現状を見る意味でも、とてもがっかりした。 “普通に”全員中級以上。 書き手は、この言葉を使って、一体なにを伝えたかったのだろうか。 「中級以上の資格者をそろえるのは当然だと思っています」というプライドにしてはあまりにもあいまいでインパクトが弱い。 「基本的には中級以上の資格者です」という意味だとしたら「例外的にアルバイトなどで資格のない講師もいます」という、逆に悪い意味を匂わせてしまう。 「中級以上の資格者なんて当たり前でしょ!」という意味だったら…問題外。広告が読み手を見下してどうする。 偉そうにするつもりは毛頭ないが、広告のコピーとしては、業種の内容をわきまえない最悪の見本だと思う。 この、わざわざ二重引用符で囲ってまで使った言葉は蛇足そのものだからだ。 結局、あいまいにしたかったのか、強調したかったのかさえ分からない。 だからといって、不快感を与えて印象付ける作戦だとも思えない。(そういう効果もまったく現れていない。) もしもこれが、広告屋が作ったのではなく、塾が独自で作ったチラシだとしたら…。 そしたら、私はこんなところに子供を安心して任せるなんてできない。 その言葉を使うことで相手になにが伝わるのか、それを想像できなくて、どうやって子供達にものを教えると言うのだろう。 以前にも書いたことがあるが、言葉は時代の流れでどんどん変化するのが当然だと思っている。 だが、流行っている言葉だから、なんとなく良い雰囲気に聞こえるからと、場所や相手におかまいなしで使ってしまうのは、あまり行儀の良いことではないと思う。 センス良く使ってこそ、流行り言葉の意味があるのだし、言葉遊びとしての面白さが発揮されるのだと。 そういえば、花子の新しい担任は、授業中よく「ぶっちゃけ」と言うらしい。 教師が子供にいきなり話をぶっちゃけてどうする、と思う。 いや、それ以前に、子供にきちんと伝わる言葉で話してやってくれないものか、と思う。 誰かが「先生、『ぶっちゃけ』の意味がわかりません!」と聞いてやれば良かったのに。 せめて小中学校の子供達には、きちんとした日本語で授業を受ける権利を保障してやって欲しいと、心からそう思う今日この頃である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006年12月22日 14時22分00秒
[世の中のあれこれ] カテゴリの最新記事
|