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テーマ:介護・看護・喪失(5316)
カテゴリ:実家(陽気な父・明るい母・おもろい妹)
NHK特集で、認知症のお年寄りの治療に「学習療法」という、いわば脳のリハビリが効果をあげているという内容の番組が放送された。
これは、最近人気の脳トレなどでもお馴染みの、東北大学の川島隆太教授による研究グループが行っている試みで、脳の中で、コミュニケーションを司る部分や、感情のコントロールをする部分を、簡単な音読や計算を繰り返すことで刺激することができるという研究の実践らしい。 とにかく毎日、簡単な音読と簡単な算数の学習(簡単な、というところが重要らしい。)を繰り返す。 すると、しだいに感情のコントロール機能が復活し始め、明るくなったり、気力を取り戻したり、あまり荒れなくなるのだという。 私は本棚から、太郎や花子が使った百マス計算のプリント集や、穴あき計算の問題集を引っ張り出した。 しかし、このまま送っただけでは、どう考えても手をつけないだろう。 どうにかして、父が少しでも興味を持ち、母の負担の少ない方法で、毎日学習をすることができないかと考えた。 そこで、毎日同じくらいの時刻に、手紙をつけてファックスで送ることを思いついた。 これなら、イヤでも毎日目にするし、母も私のせいにして「またののはなが送ってきたよ」と渡すだけでよいので、幾分、気持ちが楽だろう。 おそらく、そうすんなりとやり始めるような簡単なことではないだろうが、とにかく毎日送り続けることで、生活にいくらかのリズムができるのではないかとも思った。 ただ、繰り上がりのない百マスの足し算なんて、バカらしく見えて、余計にやる気が出ないかもしれないという心配は少ししていた。 ところが、実際には百マス計算や穴あき計算は、やりなれていない父の目にはとても複雑に映ったらしく、「こんな計算もできないなんて…」と泣きそうになったらしい。 そうか、あの計算の速かった人が、もうこんな計算も難しく感じてしまうんだなと、判断の甘かったことを反省し、すぐにまた本屋へ走った。 もっとずっと易しい、一年生のはじめ頃に習う計算や数の数え方の問題集を探し、できるだけ見やすい構成になっているものを選ぶ。 音読の楽しそうなものも見つかったので、それも買った。 今、もっと楽しめるような教材がないかと探しているところだ。 父は相変わらず荒れているが、今日は少し普通にできる時間もあるらしい。 今は、少しでも穏やかにいてくれる時間が長いことを祈るしかない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007年03月02日 15時38分26秒
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