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野の花も日々あれこれ考える

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2007年05月12日
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カテゴリ:音楽
古典の勉強をしている太郎の参考書に、竹取物語が載っていた。
「なぁおかん、これってかぐや姫の話やろ?子供の頃に聞いたかぐや姫のストーリーよりもエピソードが多くて長い話やな。蓬莱の玉の枝とかさぁ。」
と太郎が言った時、私はある歌を思い出した。


それは実家の父がよく歌っていた歌で、タイトルも歌詞もよくは分からないのだが、

♪はじめの男はインドに渡る~
という、冒頭の部分と

♪泣く~ 泣く~ かぐやひめ~
というサビの部分だけは鮮明に記憶に残っている。


なんだか、のどに引っかかった小骨が取れないときのようにその歌のことが気になった。
そこで、とりあえずネットでいろいろな検索をかけてみて、その歌が河合坊茶と言う人が歌っていた「かぐや姫 吟遊詩人の歌」という曲であることが分かった。
(最初「かぐや姫」で検索すると、南こうせつのかぐや姫関連の記事がうんざりするほどドバーーッとヒットして半泣きになった。)

そこから芋づる式に次々に検索し、ついにこの歌を作った人が分かった。
それがタイトルに書いた偉大なる作詞・作曲家「三木鶏郎」その人であった。

このかぐや姫の曲はテレビの民間放送が始まる前の時代に、ABCラジオのホームソングとして繰り返し流れていた曲らしく、関西方面の年配の方々ならば必ず耳にしたことがあるという、有名な曲であったのだ。


そうか、三木トリローっていう人なのか…。
果たして父は知っているのだろうか。
なんだかちょっと楽しくなってきて、私はもう少し彼のことを調べることにした。
いろいろ調べて、父に教えてやろう。
懐かしい思い出を探ることは、父にとっても楽しみだろう。
そう思った私は、このトリロー先生の曲がCD化されていないかと探すことにした。

すると、あった!!


これ、キリンのアミノサプリという飲料のCMで使われていた曲だ。

♪たららぷんかぽんかぴ たららぷんかぽんかぴ
と面白い音楽が流れて、人々が奇妙な体操をするシーンはどこか懐かしいような妙な感じがして、とても印象に残っている。
CMを見て、曲の問い合わせが殺到したために、新たにリリースされたのだそうだ。


肝心の「かぐや姫」の入っているものも見つけた。

トリローソングス

(これ、ソッコーで買いました)

ものすごく古い曲が多いのだが、中には
♪あっかっるーいナショナール
とか
♪キリン レモン キリン レモン
とか
♪わっわっわー 輪が三つ
とか、私の記憶にあるCMソングもあった。

そしてなんといっても驚いたのは「トムとジェリー」の、あのテーマソングもトリロー先生の手によるものだったことだ。
両親が商売をしていてものすごくテレビっ子だった私は、トムとジェリーが大好きだった。
「夏休み子供劇場」とか「春休みアニメ劇場」とかというタイトルで何度も何度も再放送されるトムとジェリーのシリーズを、毎回必ず見ていた。
トムとジェリーのあのテーマソング、おそらく何百回と歌ったのではないかと思う。
子供心にもちょっとカッコイイと感じたのは、たっぷりとジャズのエッセンスがちりばめられているせいだろう。

調べてみると、1914年生まれのトリロー先生が亡くなったのは1994年だから、私たちの年代は彼の音楽を知っていても当たり前なのだった。


パソコンに向かって「わーー、あったわ!」「へーっ!この曲も?!」と喜んでいると、太郎が横から「何やってんの?」と覗きに来た。
「かぐや姫の歌さぁ、三木トリローっていう人が作ったらしいよ!」と、ちょっと興奮気味に教えると、太郎はこともなげな表情で

「トリロー?ああ、二見音頭や二見がえるを作った人やな。」


ええーーーーーーっ?!


「二見音頭」は文字通り、私たちのまち「二見」で昔から盆踊りなどで踊られてきた曲で、今も小学校の運動会などでも子供達が踊るもの。
「二見がえる」は、保育園児たちを中心に、小さい子供達が、カエルの目玉のついた緑色のサンバイザーに緑の軍手、白と緑のちゃんちゃんこ風衣裳で踊る、二見の伝統芸能とも呼ぶべき存在の曲。
どちらもこのまちに住んでいる人たちは必ず知っている曲なのだ。

太郎は先日の修学旅行で、沖縄の子供達と伝統芸能の交流会をしてきたので、その時にこれらの曲について調べたのだと言う。
「その時トリロウって変わった名前だなぁと思ったから、間違いないよ。」


世の中はどこに縁が続いているか、本当に分からないものだ。
父が昔から歌っていた歌と、娘の私が好きだったアニメソング、そして孫の太郎が習ったまちの伝統芸能が、実はみな一人の音楽家の作品だったなんて。


三木鶏郎。
生きておられたときに、彼の音楽に出会いたかったなぁ。





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Last updated  2007年05月12日 15時39分47秒
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