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野の花も日々あれこれ考える

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2007年06月05日
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カテゴリ:うちの庭
殿が梅の木を少し切る(伸びすぎて少し邪魔なので)というので、その前に梅の実も収穫した。
少し早すぎるかと思ったのだが、案外、少し触るとポロリと取れる感じだったので、青梅としてはちょうど良かったのかもしれない。

梅


今年は、何の実を収穫するときも花子が必ず「ジャム!ジャム!ジャムにしようよ!!」とうるさいので、梅もジャムになる予定。
「梅酒だったら私や兄ちゃんが楽しまれへんやんか。ジャムやったらいつでも食べられて嬉しいもん。」と楽しみにしているので、頑張ってみようかと思う。

…でも、梅ジャムは下ごしらえに時間がかかるんだよなぁ。
水にさらして、ゆでて、またさらして…。


子供の頃、大人たちに「生の青梅は青酸が含まれているから、かじると死ぬよ」と教えられて、ビビリながら育った私は、じつは青梅を扱うのが死ぬほど怖かった。
青酸といえば、あの、青酸カリの「青酸」なのだろう。
きっと同じ仲間に違いない。
この毒で亡くなったかどうかは、アーモンド臭がするのですぐに分かる…なんていう話も聞いたことがある。
年齢の割には、けっこう大人の推理小説も読んでいた私は、本当にものすごく怖かった。

だが実家は八百屋だったので、毎年この季節になると、家のどこにいてもふわりとプラム系の香りが漂っているほどたくさんの梅であふれかえっていた。
その、甘酸っぱい良い香りと「青酸毒」という言葉のギャップに、子供の私はなおさら恐れおののいた。

その印象はかなり成長してからもぬぐえず、よそのお宅の立派な梅の木に鈴なりの実を見ても、羨ましくはなく「あのお宅の人々はあんなにたくさんの毒の実をどうやって処理するんだろうか」と心配になるのだった。
家で取れた梅で梅干を漬ける…なんて話を聞くたびに、すごいなぁ、勇気があるなぁと感心したものだ。


だが、今の家に住むようになって、私の庭にも梅の実がなるようになってしまった。
殿がもらってきた小さな盆栽の梅を、北の庭の隅っこに植えたら、梅はスクスクと育ち始めて、あっと言う間にたくさんの実をつける程になったのだ。
今では私の背丈をとっくに追い越し、自分が浅い浅い盆栽の鉢にちんまりと収まっていたことなどすっかり忘れているようだ。

しかし、毎年、私の庭に毒の実を落とす植物。
これはとにかくコワイ。
花の頃は毎日のようにそばまで行って眺めるが、実が大きくなってぽとりと落ちるようになったらどうしよう…と、浅はかな私は心底怖かった。

だが。
毎日、健康のために食べる梅干しの元が、そんなに猛毒なんて…。いや、あれは青梅じゃないからか?
いやいや、でも待てよ、カリカリ梅や梅酒や梅シロップなんて、青いままで食べるじゃないか。
あれらは、なにか青酸毒を抜くほどの恐ろしい処理がされているんだろうか。
健康のために良いって言われる梅なのに?
ほんとか?

初めて梅の実がなった年、この疑問は私の頭の中をぐるぐるまわっていた。
そして、こわごわながら「ちょっと調べてみよう」と思ったのだ。


植物毒について書かれた本やネットのサイトを片っ端から覗いてみる。
すると、どの情報にも必ず「青梅には微量の青酸が含まれており…」という意味のことが書いてある。
やっぱり青酸は含まれていた。
微量だって、青酸は猛毒だもん。やっぱりコワイよー。

「…しかし、人間の致死量としては、100個から300個を生食しなければ摂取できず…」
ええっ?!
青梅100個?
そんなの食べられる人、いるのか?

「…青梅の青酸は、塩もみするだけでも中和されてしまう程度のものであり、加熱やアルコールによっても完全に中和され…」


なあんだ、そうだったのか。
そうだよなぁ、梅が猛毒で、命がけで食べるような物だったら、健康に良いとは言えないもんなぁ。
ごめんよ青梅、勝手に悪者にして。

そんなわけで、私も晴れて庭の梅の実を愛でられる気分になった。
そして「来年はもうちょっと沢山なるといいのになぁ」なんて思うようになったのだった。

そして、今年は梅ジャムに。
花子があまりに楽しみにしているので、勢い余った私は金欠が続く家計のこともすっかり忘れて、大きなホーローの鍋を新調してしまった。
さすがに流行のフランス製なんてのは買えないが、うちの梅を煮るのにちょうど良い深さの、シンプルな鍋を手に入れた。

さあ、今夜からいよいよあく抜きを始めるぞ。
今週はPTAの会合が二つと太郎の塾の進路説明会と、他にもいろいろと用事が山積してるけど、「この季節だけしかできない仕事」はやっぱり大切にしたい。
おいしい梅ジャムができることを期待して、頑張ろう。





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Last updated  2007年06月05日 10時46分02秒
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