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テーマ:ё・ぼ・や・き・ё(1794)
カテゴリ:子供にまつわるあれこれ
小学校の鼓笛隊のトランペットを教えに行き始めて、5年目になった。
今年も春から、子供達に基礎練習の着方を教え、楽譜の読み方を教え、夏休みには演奏やパレードの演技指導をして、そして今週末には本番の運動会を迎える。 5・6年生で編成されるトランペットパートは、毎年20人前後のメンバーが集めらるのだが、その年によって子供達のキャラクターもいろいろで、うまく気分をのせて引っ張るのは少々骨が折れる作業だ。 それでも、まるで音の出なかった子たちが少しずつ上達し、みんなで息をあわせて曲を吹けるようになって行く様子は感動ものであり、その子供達の嬉しそうな表情見たさにボランティアで通っている。 毎年、必ず苦労するのは、今の子供達は行進する機会などないものだから、イチ・ニ・イチ・ニとテンポにあわせて歩くことがなかなかできないことだ。 だが、これができなければ演奏のテンポも絶対に合うわけがない。 夏休みも、トランペットのパートだけは何度も集まって集中練習を行った。 はじめばらばらだった足音が、子供達が意識してあわせることに集中し始めると、あるとき突然ザッザッザッザッと一つのリズムに揃う。 その時の子供達の気持ち良さそうな、ぱっと輝く表情は、なんとも美しくて、見ているほうまで嬉しくなる。 しんどい練習をこなして「できるようになる達成感」を、子供達は味わうのだ。 気持ちを一つにして集中することのすごさを、実感するのだと思う。 そういう気持ちよさを経験すると、次は演奏をきっちりと合わせよう、次はアクションをきちんと揃えようという風に、子供達は貪欲に成長していく。 その甲斐あって、トランペットの子供達はどの楽器のパートよりも美しく歩き、とても息の合った演奏ができるようになった。 パート練習の最後の日に、私は子供達に「鼓笛隊は誰一人として欠けてはいけない。みんな一人一人の音がそれぞれ大切なのだから、全員が全力で自分の責任を果たそうね。合奏になったら、他の楽器の音をちゃんと聴いて、楽しんで演奏できるくらいになろうね。」と言った。 子供達もうんうんと頷いて、にこにこしながら話を聞いてくれた。 そしていよいよ、本番に備えての全体練習が始まった。 音楽の先生が全体の指導をされ、本番のように運動場を歩きながらの練習。 ところがそれは、悲しくなるようなものだった。 全体練習が始まる前、全体指導の音楽の先生は私を呼んで 「教えに来てくださってありがとうございます。でも、時間もないことですし、ちゃんとしたものを作るつもりはありませんから。」 という、信じられない言葉を投げかけられたのだった。 そして練習が始まると、ドラムがバラバラですぐに演奏が止まってしまった。 するとその先生は「ドラムがヘタクソなのでやり直します。やり直しはドラムのせいですから、みなさん恨むならドラムの子達を恨みなさい!」と拡声器で叫んだのだ。 これから息を合わせて、気持ちを合わせて、演奏をしなくてはいけない子供達に、「恨め」とは一体どういうことなのだろう。 その後も、具体的にどこをどうなおしなさいと言うような具体的な指導は一つもなく、 「鼓笛は見た目です。間違えるくらいなら吹いているマネをしていなさい。」 「一人や二人、吹いていなくてもお客さんには分かりません!ヘタクソな子は吹いているふりでよろしい。」 「演奏はどうでもいいから、とりあえず止まらないでやりなさい。」 「○○はへたくそだから、みんな○○の音を聴かずにやりなさい。聴くとつられるのでダメです。」 というような言葉がずっとつづく。 けれど他のどの先生も、そのひどい言葉に注意する様子もないし、気にも留めていないようだ。 それもなんだか悲しいと思った。 先生方が手一杯で、時間がないのはよく理解している。 けれど、学校教育の一環として鼓笛隊を実施しているのなら、もう少しきちんとした指導ができる人にさせるべきだと思う。 そういう人がいなければ、鼓笛隊をやるなんて無理なのだ。 これでは、子供達は音楽の楽しさを何一つ感じることができないまま、本番を終わってしまうだろう。 子供達がこういう人に音楽を教わっているのかと思うと、本当に悲しくなる。 小学校の音楽の授業や鼓笛隊って、一体なんのためにやるんだろうと、とても疑問に思う。 夏休みも学校に来て、厳しい練習を頑張ったトランペットの子供達に申し訳なく思った。 彼らは総合指導の先生が「どうでも良い」と言う演奏を、厳しく注意を受けながら健気に何度も何度も練習したのだ。 拡声器から発せられる、ヒステリックな言葉を聞きながら、来年からは、もう指導に行くのはやめようと、心からそう思った私だった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007年09月12日 00時48分10秒
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