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カテゴリ:ライツ・オファリング
ライツ・オファリング銘柄の結果について、メモ書き程度で整理しておくシリーズ。
本日は、石山Gateway(7708)のライツ・オファリング結果について。 1.石山Gatewayのライツ・オファリング 精密測定機器の製造・販売が祖業の石山Gateway。現在は、投資アドバイザー、自動車部品・電機製品製造、アパレル、不動産、旅行、医療、発電関連事業などに多角化。 2001年にナスダックジャパン(現ジャスダック・グロース)に上場した際の会社名は、フォトニクス。その後、事業の多角化や祖業の売却などを進め、会社名もフォトニクス → ゲートウェイ → ゲートウェイホールディングス → 石山Gateway Holdings と変遷。 特に、最後の2013年10月の名称変更が異質で、筆頭株主の石山久男氏の”石山”を冠したとのこと。この石山氏、同社の創業者でもなく、経営者でもない。資金繰りに窮した同社に資金提供する中で、筆頭株主の地位を確保し、25年12月時点の保有比率が約26%。 ちなみに、この石山氏、水素珪素天然水VanaHなるものを販売するVanaH社の経営者。いわゆる”裏口上場”を虎視眈々と目指しているように見えなくも無い。 今回のライツ・オファリングでは、このあたりの、石山Gateway社の経営権をめぐる思惑も見え隠れしているような感じがしなくもない(現経営陣による経営権防衛的な意味合い、またはその逆か、よくは分からないのだけど)。 前置きが長くなってしまったのだけど、そんな状況の石山Gatewayが、6月12日にライツ・オファリングの実施を公表。有利子負債の減少、不動産事業・旅行事業の拡大、発電事業およびM&Aの資金確保が目的とのこと。 ライツ・オファリング(ノンコミットメント型/上場型新株予約権の無償割当て)に関するお知らせ 同Q&A 石山Gatewayの新株予約権は、1個につき60円の払い込みで1株取得できる権利。 石山Gatewayのライツ・オファリングに関する主なスケジュールは以下のとおり。 6月12日:ライツ・オファリングの実施を公表 7月 7日:新株予約権割当の権利最終日 7月 8日:新株予約権割当の権利落ち日 7月11日:新株予約権上場 8月18日~9月9日:新株予約権の権利行使期間(証券会社によって取次ぎ期間は異なる) 8月21日:新株売却可能日(証券会社によって異なる) 9月 2日:新株予約権上場最終日 2.株と新株予約権の値動き 新株予約権上場中の、株と新株予約権の値動きは以下のとおり。 注:(3)の欄は、その時の価格で新株予約権を入手し権利行使価格(60円)を払い込んで新株を入手するとしたときの新株入手の総費用。 (4)の欄は、その時の株価と、(3)で計算した新株入手の費用の比較で、新株予約権のディスカウント状況を計算したもの。 8月11日を新株売却可能日としているのは最短の場合、実際は証券会社によって異なる。 この間、8月12日の引け後に、2014年6月期の決算短信を公表。久方ぶりに営業段階から黒字を確保、2015年6月期は大幅増収大幅増益を予想。 同社としては、かなりの好内容(予想はともかく実績が)だと思うのだけど、翌13日は日中こそ、株、新株予約権とも出来高を伴って若干上昇する局面があったものの、終値としては何事もなかったかのような風情。 8月25日には、8月22日までの権利行使率が30.9%に達したことを公表(最近では、かなり出足好調)。 8月26日には、筆頭株主の石山氏が一部の権利を行使する意向、残りの権利は具体的な方針を決めていないとの情報を開示。(この開示、同社と筆頭株主の石山氏に微妙な距離感を感じるのは深読みしすぎだろうか。) 8月27日には、社長の三木隆一氏が、投資事業組合を通じて所有する権利を行使するとともに、株式の名義を個人名義に変更すると公表。(経営権を死守したいとの意欲のあらわれのように感じるのは深読みしすぎだろうか。) 8月27日には、株、新株予約権とも価格が急騰、出来高も大幅増加。 なお、8月29日には、発電事業のブランド名を制定したという、ライツ期間中ならではのイメージアップ作戦を展開。 最終的な権利行使率は、95.7%と、極めて高い行使率を達成。 全期間を通じて、新株予約権がディスカウントされた状況が続いたことが大きな要因。それから、やはり経営権をめぐる何事かがあったのだろうか。 また、少し期間を前後に拡大した株価の動きは以下のとおり。 なお、新株予約権割当の権利最終日の7月7日の終値が174円なので、権利落日の7月8日の基準価格は(174円+60円)/2 = 117円 上記のチャートでは、両日の間で、174円/117円=1.487倍の株式分割が行われた扱いとなっている(7月7日までの株価を分割率で割り引いて表示)。 権利落日の7月8日に、権利落ち分をかなり下回る下げになったため、チャート上は急騰した形となっている。このあたりにも、なにがしかの収益機会が有るのかもしれない。 3.感想など ・今回は、新株予約権独自の値動きがみられず、終始、新株予約権が大きくディスカウントされた状態が継続。「新株予約権を購入 → 権利を行使して新株を入手 → 株を売却」という単純な手法で利益が出る状況。 ・会社の経営権をめぐる思惑が垣間見えたような気がしなくもないのだが、ライツ終了後に大株主の保有比率がどう変化したのか気になるところ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Sep 12, 2014 06:56:43 AM
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