カテゴリ:差別問題
僕が、この「風と共に去りぬ」を読んだのは、高校受験勉強の最中の中学3年生の時だ。あのころは、「戦争と平和」(トルストイ)や「凱旋門」(レマルク)などを乱読した。
今、医療従事者や重篤患者収容医療機関に対する(差別)など、コロナ禍に端を発した「コロナ差別」が、テレビなどで取り上げあられている。 また、欧米では、中国発のウイルス(武漢肺炎)に関連した(アジア人差別)も、良く報道されている。 この現代でも・・・差別意識を克服することの困難性を、見せつけられてきた。
作者のマーガレット・ミッチェルは、この小説を書くにあたっては、「私は黒人を侮辱しようなんていうつもりは全くない」(本文、本人の手紙)・・・というのは、彼女の本心だと思う。 しかし、黒人差別が(普通)であった当時のアメリカ南部を、忠実に描写することで、結果的に、読者に、(空気を吸うように)差別思想が、浸透していったことは、明らかだ。
著者は、自らの著作で、読者に与えるかもしれない(差別思想)にまで、思いを致すべきではある・・・と、今では言えるのだが、出版当時の国民全体の意識は、そういう問題意識すら希薄だったのだと思う。当時から、「人種差別的だと批判の声があった。)(本文)のは、わずかな救いではあるが・・・
この小説は、4人の主役たちが、時代の大きな移り変わりの中で、どのように生き抜いたのか・・・人間の生き方をテーマにした傑作だが、新しい世代や、アメリカ以外の世界中の新読者が、この(名作)を 当時の社会状況を知らずに読み進めることで、間違った思想に洗脳されてしまうことになる。
その意味で、(名作)といえども、何の注釈もなしに、紹介することは、大きな問題がある。今回(6/9)の米動画配信サービス「HBO Max」の配信停止は、間違っていない。
しかも・・・「『風と共に去りぬ』は24日、アフリカ系の映画批評家でシカゴ大教授のジャクリーン・スチュワート氏による約4分半の解説動画を本編開始前に付けた上で、当時製作されたままの形で再び配信された。過去の偏見を消し去るのではなく、『より公平公正で包括的な未来を築くために、まず歴史を認め、理解しなければいけない』(HBO Max)との考えからだ。」(本文)は、支持したい。
変化していく時代の中で、その書かれた時代背景を理解せずに、「古典」を読み進めていくことには、大きな限界があるということだ。
皆さんは、どう思われるか? (はんぺん) ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「風と共に去りぬ」配信停止、時代の風 奴隷制を美化、黒人死亡事件で差別抗議 2020年6月26日 朝日新聞
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最終更新日
2020.08.11 01:00:41
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