カテゴリ:経済・景気
歪んだ資本主義の下、(夢)を持てない若者たちの未来。我々は、どんな未来を彼らに遺すのか? 2024-2-23 はんぺん 日経平均株価が、史上最高を記録している・・・多くの株式を所有した資産家は、ウハウハの毎日だろう・・・高笑いが聞こえるようだ。
一方で、資本家たちによる(出し惜しみ)の結果、賃金は、抑え込まれてきた。労働運動全体が、骨抜きにされて久しいが、闘わない(おこぼれ頂戴)の『連合』などでは、事態の改善には、何の役にも立たないだろう。
労働者の賃金の上昇が見込めない中で、貧富の格差は、ますます開くばかりだ・・・若者にとって、(夢)が持てない社会が、長い間、続いてきた。 これが、現在の社会状況だ。
保守勢力による(既得権の防衛)は、見事に成功している。 馬鹿を観たのは、(騙されて)保守派に、一票を投じてきた、国民だった。
こういう時に、真に力を発揮しなければならないのは、(リベラル勢力)でなければならない・・・と思うのだが、現実は、どうだろう?? あの70年代から、彼らは、どれだけ進歩してきたのだろうか?
皆さんは、どう思われるか? はんぺん ――――――――――――――――――― 日経平均バブル超えの裏に低賃金で苦しむ労働者たちの犠牲。賃上げと株高の両立が困難な理由=斎藤満 2024年2月23日 MONEY VOICE 昨年12月の実質賃金は前年比1.9%減少し、これで21か月連続の減少となりました。企業の価格転嫁が物価高と同時に企業利益を高め、これが株高の源泉になっています。政府日銀は賃上げ促進策もあり、間もなくこれがプラスになると期待しています。
しかし、ここまで株価の押し上げに寄与してきた実質賃金のマイナスを企業は放棄できるのでしょうか。株価を損なわない実質賃金プラスは可能でしょうか。(『 マンさんの経済あらかると 』斎藤満)
21か月連続の実質賃金減少
厚生労働省が6日に公表した昨年12月の「毎月勤労統計」によると、12月の名目の現金給与総額は前年比1.0%の伸びにとどまりました。
所定内給与が1.6%増えたものの、所定外が0.7%減少した上に、特別に支払われた給与(ボーナス)が0.5%の低い伸びにとどまったためです。
この結果、物価上昇を差し引いた実質賃金は1.9%の減少となり、これで21か月連続の減少となりました。
政府は23年の賃上げ3.58%は、30年ぶりの高い伸びと胸を張りますが、定昇が約2%あるので、3.58%の賃上げは、実際には1.6%前後の「ベースアップ」にすぎません。現にこれに相当する「所定内給与」は1.6%増となっています。
この実質1.6%ベアでは3%を超える物価上昇にはとてもかなわないわけで、24年は物価上昇を上回る賃上げが必要……との認識が広がっています。
そこで政府は昨年暮れに、賃上げ促進税制の改訂版2024年を打ち出し、減税の恩恵を受けない赤字企業にも配慮して、5年間の繰越を認めることにしました。
大企業の場合、7%以上の給与支払い増に対し、最大で35%の法人税控除の「人参」をぶら下げ、中小企業には最大45%の控除を提示しています。
大幅賃上げの広告宣伝効果と減税をうける「一石二鳥」となるので「7%賃上げ」を表明する企業が増えています。
賃金抑制で利益は過去最高に
しかし、ここまで企業は人件費増を抑制し、一方で輸入コスト高の分を積極的に価格転嫁するようになりました。これが物価高となり、労働者にしてみれば実質賃金の減少となり、企業は価格引き上げ、マージン拡大で最高益を実現する形になりました。
財務省の「法人企業統計」によると、昨年7-9月期の経常利益は前年比20.1%の大幅増益となり、過去最高益となりました。価格転嫁により売り上げが増え、利益を拡大させています。
その一方で当期の人件費は前年比4.1%増、1人当たりでは2.7%増に抑えています。この人件費抑制が2桁増益をもたらし、さらに利益剰余金(内部留保)は7.1%増えて568兆円と、日本のGDP1年分に迫る規模になりました。
この利益拡大、内部留保増が株価上昇につながっているわけで、言い換えれば実質賃金の減少が企業利益の源泉でもあり、これが株高につながっています。
家計の犠牲、どこまで耐えられるのか
その分、家計にしわ寄せがきていますが、かつてのコロナ禍での消費抑制から解放された「ペントアップ需要」が消費を拡大させたため、家計部門の疲弊は目立たないように見えますが、実際には日銀の「生活意識に関するアンケート調査」などに苦しい状況が示されています。
昨年12月調査の結果を見てみましょう。
まず家計が実感する物価上昇が、公表の物価統計と大きく異なります。アンケートではこの1年の物価上昇が平均で16.1%、中央値で10.0%となっています。日銀が物価の尺度にしている生鮮食品を除いた「コア」が前年比2%台にあるのと大きく異なります。
家計が頻繁に目にする食料品価格は6~8%上昇し、その印象が強いほか、政府統計は機能向上や容量増などを「値下げ」扱いし、また固定品目を調査対象にするめ、新製品値上げがもれます。
このほか、政府統計では1パック、1袋ごとに価格を調査するものがあり、その容量が1,000ccから900ccに減ったり、1袋に入る個数が10個から8個に減って実質値上げしたもの、パンの大きさが小さくなって実質値上げしているものがもれてしまいます。現実の物価上昇は、家計の実感では10%以上で、実質賃金の減少以上に苦しくなっています。
実際、政府日銀は景気を緩やかな回復と評価していますが、家計の実感は、この1年で「良くなった」とする人は9.3%で3か月前の12.5%から低下、逆に「悪くなった」と感じる人の割合は3か月前の55.0%から58.9%に増えています。
そして物価上昇を「好ましい」とする人が3.6%に対して、「困ったもの」とする人が84.5%に達しています。つまり、家計を犠牲にしたうえでの企業の利益拡大で、家計がこれに耐え、我慢できる間はよいとしても、いずれ耐えられなくなる日が来ます。
実質賃金の減少は、厚労省の「毎月勤労統計」では昨年2.5%でしたが、個人の実感インフレ率を中央値の10%とすれば、実際には8%以上の減少となり、2,000兆円を超えた家計の金融資産も1年で200兆円も目減りしたことになります。
ペントアップ需要もあって、家計は旅行や外食で消費を増やしていますが、一方で実質購買力の減少を受けて節約も余儀なくされています。総務省の12月の「家計調査」によると、葬儀費用や寄付金を減らし、これらだけで消費全体を1%近く押し下げています。
賃金物価の好循環は容易でない
こうした事態を打開するため、政府や財界は24年度に積極的な賃上げを実現し、賃金物価の好循環とともに、実質賃金のプラス化を目指すと言っています。
一見すると美しい絵に見えますが、これは賃金物価の悪循環に陥るか、労働者が分け前を取り戻すことで企業利益を圧迫し、株価を下げるリスクがあります。
企業が法人税減税を利用して賃上げをする分は、法人税収が減る分、いずれ個人が所得税、社会保険料負担増などでツケを払うリスクがあり、実質的な賃上げ効果を減殺する面があります。
また賃上げした分を企業がまた価格転嫁すれば、それだけ物価が上がり、賃金物価の悪循環となり、実質賃金は増えません。
企業が価格転嫁を抑制し、ないしは価格転嫁できなくなり、実質賃金が上昇する場合、そこでは企業利益がその分圧迫され、企業収益の悪化が株価を押し下げるリスクがあります。
企業が自ら利益を犠牲にして価格を抑制するとは考えにくく、結局、物価高で消費需要が弱まり、その結果企業の価格転嫁が難しくなって収益悪化、株安となる形が現実的です。
この「二者択一」を回避する唯一の方法は、AIの導入などで労働生産性を高め、企業にコスト負担のかからない賃上げを可能にする形を作ることです。そのとき初めて賃金上昇でも物価が上がらず、実質賃金が改善する状況が実現します。
生産性が上がらなければ、企業か労働者か、どちらかが犠牲を余儀なくされ、悪循環か景気悪化の形になります。生産性上昇がカギを握っています。
(続きはご購読ください。初月無料です) ――――――――――――――――――――― プロフィール:斎藤満(さいとうみつる) 1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.02.25 17:42:25
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