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2024.06.09
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カテゴリ:反原発

45年前の朝日新聞の天声人語だ。個人の信念は、巨大な国家権力により、いとも簡単に、押しつぶされそうになる  2024-6-9   はんぺん

 

「ソ連の水爆の父」と言われたソ連の物理学者サハロフ氏だったが、(核兵器の実験に対する痛烈な自省の念)を表明し、また、(不自由)(官僚主義)体制批判を繰り返したために、その後、ソ連共産党による、弾圧を受ける事に・・・

 

アメリカで原爆の開発を指揮した理論物理学者、ロバート・オッペンハイマーと重なる部分がある。

オッペンハイマーは、アメリカでは「原爆の父」として知られる。戦後はアメリカの水爆開発に反対したことなどから公職追放された。

 

 人類は、何度も(同じ過ち)を繰り返す・・・それが、自分の首を締めあげる事が、わかっていながら・・・だ。

 

皆さんは、どう思われるか?   はんぺん

――――――――――――――――――――――

天声人語(1978・5・20)  朝日新聞

 ソ連の物理学者サハロフ氏は、青年時代、天才の中の天才といわれたそうだ。やせて、背の高い、内気な若者だった。

 

二十六歳で博士になり、三十二歳で、ソ連史上最年少の科学アカデミー会員に選ばれている。

栄光の道を歩んだ博士は、のちに「ソ連の水爆の父」と呼ばれるようになる

 

▼水爆研究による貢献で、スターリン賞と三つの社会主義労働英雄勲章を授けられ、高給、快適な屋敷、運転手つきの自家用車などに恵まれた。若くして、名誉と富を得たのである。サハロフ氏自身の言葉を借りれば「超特権階級」の一員だった

 

▼しかしやがて、博士はそのすべてを捨ててしまう。きっかけは、核兵器の実験に対する痛烈な自省の念だった。

 

「わたしはしだいに、核実験ばかりでなく、事業全体の犯罪性を理解しはじめた」 「わたしは核実験のさいの放射能汚染に責任を感ずるようになった」と書いている。

恐ろしい世界にふれてきた自分には、その恐ろしさがいっそうよくわかる、というのだ

 

▼ソ連の核実験に公然と反対するようになって地位を奪われたが、それでも良心の訴えを続けた。「大量殺りく兵器の開発で得た財産は血で汚れている」といって、蓄えた財産をすべてガン研究にささげたともいう

 

▼博士の批判の目は、同時に、体制そのものにも向けられた。

「ソ連社会のいちばん大きな欠点は」と外人記者に問われて、「自由のないことです。確実に。それに政治の官僚主義化です」と答えている。

 

「反体制派の巨頭・サハロフ」に対する当局の非難、攻撃ははげしい。古びたアパートに住む博士やその家族にも脅迫状がまいこむそうだ

 

▼「しかし、この闘いは闘わねばならぬ闘いです。闘うためには人間には希望が必要だ」。博士は本紙特派員にそう語っている。

たまたま本欄に国連軍縮特別総会のことを書いていたら、サハロフ夫妻が警察に連行された、というニュースが入った。

 

軍縮の集いの壇上に立つ資格があるのは、まさにサハロフ氏のような人物ではないか、と思った。






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最終更新日  2024.06.09 22:57:53
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