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カテゴリ:意識
越川 禮子さんが書かれている「江戸しぐさ」というコラムを読んで、よい気分になってしまいました。
江戸の人たちの明るさ、思いやり、価値の置き所がとても見えて、人としての質の高さを感じてしまうのです。 「江戸しぐさ」というのは、お互いが気持ちよく過ごせるよう、目つきや表情、話し方や身のこなしによって、思い(心)を表現する方法で、異文化のるつぼであった江戸でトラブルを未然に防ぐため町方リーダーたちの工夫によって生まれたものだそうです。 代表的なものとして「傘かしぎ」・・・すれ違う際に相手の肩に雨粒が落ちないよう傘を人のいないほうにかたむけるというもの、また「こぶし腰浮かせ」・・・船などが混み合ってきたら、こぶし一つ分腰をあげて席を詰め、1人でも多く座れるようにするものなどがあります。 これらは江戸庶民の処世術ですが、基本的な考え方は「相手への思いやり」「世の中への感謝」だと思います。 江戸商人は初めて会った人に対して、10年の知己に会ったような目つきをしたそうです。 「江戸には他にもお店があるのに、よく当店へ足をお運びくださいました。感謝いたします。」という思いが瞬時にしぐさになってあらわれました。 そして旅籠などでは、旅人の足をすすぎながら、わらじの鼻緒が痛んでいるのに気付くと、道中で切れたら難儀をすると思いやり、新しいものを用意してあげたそうです。 相手が望むことを察し、つねに一歩先を見越して行動することがくせになっていたのですね。 とても印象に残ったお話に「人柄あらわす聞き上手」というのがありました。 「江戸商人は、相手はどんな人なのか、何を望んでいるのかを真剣に聞き、察しようとしました。「聞き上手」とは、話す人の目を見て身を乗り出し、ひたすら聞くしぐさの人。話す人への敬意やエールが感じられ、話し手も熱が入ります。さらに、ほほ笑んだりうなずいたりして共感を示すしぐさや相づちは、聞き手の優しい人柄を感じさせますね。 反対に、私語はもとより、よそ見をしたり無表情だったりすると、相手の話す意欲をなえさせるし、何より失礼です。」 このことは今にも通じる大切な心得ですね。 聞くということは、自分の実にもなりますしね。 「傍らを楽にする働き」というお話も当時の価値の置き所が見えてくるようなきがしました。 江戸人は朝ごはんの前に、ご近所さんに困ったことが起きていないか様子をみて、その手当をするのが日課でした。 朝ご飯を食べたら生活のために働き、「昼食が済んだ午後は人のため、町のために「はた(傍)を楽にする」働き、今でいうボランティアに精を出したそうです。職種にもよりますが、「江戸っ子は3~4時間しか働かない」というのは、どうもそのあたりから来ているようです。 夕方は、夏などはみんなで一斉に打ち水をして、明日も元気で働くために備えました。「あそび」に引っかけてこれを「明日備(あすび)」といい、リフレッシュ、レクリエーションの時間だったのです。 よく働きよく遊びストレスをためないというのが江戸の暮らし方だったようです。しかも人の評価は、午後の「傍を楽にする」働きの多い少ないで決まったそうです。 地位や財産でなく、自分以外の人や世間のために働くことに人間の価値をみる。「自己中」なんて言葉は、江戸にはなかったのでしょうね。」 お互いに気持ちよく過ごすための心得が、きちんと人々の中に行き渡っていてお互いを高めあっていたのだなぁと感じます。 このころ江戸を訪れる欧米人は日本人のほほえみのすばらしさに好感をもったとありましたが、 思いやりももち、何事も陽にとらえて人生楽しく、そんな生き方が表情にも表れていたのかもしれませんね。 このコラム、週一度、発行されているようなので次回号も楽しみです^^ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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