猛者。
知らないということは、恐ろしい。体育館に入った瞬間、みんなが微妙にピリピリと緊張しているのがわかる。分からないと無邪気な私でさえ、それくらいは分かる。本国から先生がやってきた。その国ではカナリ有名な人らしい。というか、その筋のNo1とかNo2とか、大会優勝者が来るんだから当然だよね。しかし、私たちにとってみれば、異国人。みんな同じ顔に見える。というか、そりゃ若干の違いは分かるけど、そのうちのどれが、一番えらい人で、どれがスゴイ人なのか、わからん。猛者達がその国の言葉で話す。私たちは、通訳してもらって、理解する。運動を始める。先生の言葉がわからないなりにも、技の名前だけは一所懸命キャッチしようと耳を傾ける。それでも、わからなくて、見よう見まねでマネをする。その光景を目の当たりにしながら、私は別なことを考える。毎年、私は、やっている武道で台湾に行っている。稽古が始まるときに、先生が日本語で挨拶をする。それを現地の人が訳してみんなに伝える。空気が若干の緊張感を帯びている感じ。先生が、技の名前を言い、デモンストレーションを行って、みんながそれをマネる。まるっきり逆の経験。台湾の人たちは、私たちのことをこう見ているんだって。そいういう経験が出来ただけで楽しい。うれしい。母国のことを誇ることは大切。だけど、決して驕ってはいけない。みんなが、それを、注意して興味深く見ているから。本国の人は、いやはや、当然過ぎるほど当然に上手だった。いろんなものが、違って見えた。何が、どう違うか考えながら、あと数日楽しもう!