3590560 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

歌 と こころ と 心 の さんぽ

歌 と こころ と 心 の さんぽ

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X
2018.11.06
XML
カテゴリ:みそひともじ

♪ しもつきの二万一千五百歩の旅に出会ひしドルシネア姫


‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥


 翌日は雨の予想と出ていることだし、中三日空いたのでちょいと長めのウォーキングをと、午後2時半頃に家を出た。暑からず寒からず、ほぼ無風の曇天だ。このところの定番、長袖Tシャツにノースリーブの重ね着で。
 いつもとは違うコースをと思いつつ、歩きながら足が向く方に身を任す。おお、そっちへ行きたいか、よしよし。それでどこを目指す?と内蔵のコピュータに問う。「半田街道、巽が丘の本屋」と出た。佐布里池経由だな、OKそれでいこう。

 梅の館に着いて、給水&休憩。ちょっと変わった毛色の日本犬らしきもの2匹を連れた御仁がやって来た。
 「何犬ですか?」と、キュリオシティーにかどわかされた口が動いた。
 「紀州犬です」
 「なんかカッコいい毛並みの犬ですね!」
 「ありがとう」
 こんな他愛ない会話が休憩時には相応しい。

 紀州犬には白毛と胡麻毛と斑毛とがあるらしく、胡麻毛のやつは初めてだった。真っ白だったら何とも思わなかったが、狼にもシベリアンハスキーにも似ているその精悍で賢そうなところがいい。
 息子に “広い庭があるんだから、犬飼うといいよねぇ” なんて話していたことを思い出し、このぐらいの犬がいいだろうなぁと。血統書付きの犬なんて高いので、雑種でいいし。



佐布里池

 まさに明鏡止水のごとき佐布里池ではあるが、われの心はそんなもんじゃない。この静かな水面に小さな波紋を起こしてゆく水鳥のようなもの。静穏の日々に敢えて自虐の徒歩(かち)の旅だ。
 いつもながらこの平らかなる水面を見ていると、その物理的性質などを超越した絶対的な何かを感じて、心が平らに均されていく気がするのです。


柵を越えて水面近くまで下りた。

 今年の紅葉はあまり期待できないだろうと勝手に思っている目の前に、実生で芽生えたナンキンハゼが、紅く色付いていた。
 さっきから頻りにカラスの声聞こえてくる。そうだ、最近この辺りはやつらの塒になっているのだ。


左の鉄塔の下が塒なのだろう。外敵のこないサンクチュアリだ。

 夕方になるとかなりの数のハシブトが集まって、一日の反省会でもやってているのか、そりゃあもう賑やかになる。
 早めに戻って来た暇なヤツらが鉄塔の上で啼いているようだ。小学校にもいたね、こういう先走って騒いでるやつ。



鉄塔は糞で真っ白になってるだろうなぁ。

 フラッシュを焚いたら一斉に飛び上がった。岸辺から直線距離で210mほど離れている。「コンパクトカメラ」の小さなフラッシュに反応するのだから驚くゎ。
 17時ごろになると数十羽が集まって来て、カーカーカラスの勝手でしょ的大合唱がそりゃもう・・。「お前、今日どうだった?」「おおおー、結構イロイロあったわ」「おもろかったぜ!」「キジバトにパワハラしたったわ」「クソガキが石投げよった」「爺がションベンしとったぜ」「線路に石置いたった」「カマキリ喰った」「ゴミ置き場のネット、キライ」・・・。
 大声で話す内容でもないだろうに。嗚呼! ヤカマシイ。

 民家がないのでどれだけ啼いてもイイとはいっても、カラスの声はデカイし、一本調子で抑揚がない。ハシボソの「だみ声」よりましだとしても、かなり遠くまで聞こえて耳障りだ。頭はいいのに鳴き声ばかりは全く・・。
 夕暮れから逢魔が時、冥界へ誘うような声は悍ましい。やっぱりマジックアワーは静かであってほしいねぇ。



サワグルミ オニグルミの実の内側のように入り組んでいる。

 カラスや野鳥はとても目がいい。目が横についているので、視野が広いということもある。
 隣家の柿の木に止まっているのをガラス越しに見ていて、ちょっと動いただけでスッと逃げる。まさか向こうからもこっちが見えているなんて、こっちが驚くわ。



 巽が丘の住宅街を抜けようと、闖入者の気分で足を踏み入れた。右折左折しているうちに方向が分からなくなるのがオチだ。特に夜はどうにも厄介だで。元の場所に出て狐につままれたことがある。が、この日はまだ空が明るく、辛うじて西の方角が分かるので大丈夫だ。



こんな地図なんて持って歩かないし・・

 適当に歩いていると、夫婦連れが横道から現れた。夫唱婦随でウォーキングしているらしい。追い越して次の角を曲がってもう一度曲がってみると、さっきの夫婦が前を歩いている。??
 同じ方向に向かっているらしい。山を削って出来た住宅街は道が複雑。碁盤の目にはなっていないし道そのものが真っ直ぐじゃない。
 三叉路やT字路を適当に曲がる。さっきの夫婦がまた違うところから出て来て、ずっと先の方を歩いている。その内、見失った。

 念のために、向こうからやって来た学生さんに、
 「ここをまっすぐ行くと、どこに出ますか?」
 「巽が丘駅前の交差点に出ます」 おお、勘は合ってたんだ。
 しばらく歩いて、ふと前方を見るとさっきの夫婦が歩いている。まったく同じ方に向ってる。ただのウォーキングだぜ、他所から来たエトランゼだぜぇ。まるで狐が先導している様なもんじゃないかい。奇遇と言わずに何と言おうか。


 疲れちまったのでどこかで休憩したい。駅前なので喫茶店ぐらい有るだろうと、半田街道に出たら目の前に、あった。私を待つように佇んでいる。引き寄せられるようにドアを開けた。
 目の前に可愛いらしい娘さんが座っていた。本でも読んでいたのか、私の顔を見てニコッと笑顔で迎えてくれる。チラッと見ただけなのに、つぶらに輝いている瞳が爺の心をつんッと刺した。ほんの一瞬のこと。

 その娘が注文を取りに来た。小柄で、丸顔。年の頃は二十歳前後か。ポニーテールがゆれるとても温和な表情がいい。珍しく「カフェオレ」なんか頼んでしまったよ。トイレから出る直前にカフェオレを持って来たらしく出てきた私に、わざわざ引き返して「お待たせしました」と声を掛けてくれる。むっさい爺に向けるその険のない自然な笑顔がとてもいい。
 私の心は鷲づかみされ、いやナイチンゲール掴みされた。胸がきゅんと悲鳴を上げた。

 カフェオレに付いてきた小さな「わらび餅」と「ゴマを絡めたモチ菓子」、子袋から柿の種&ピーナツも出して、ぜーんぶ食べちまった腹も減っていたし、なんか気分が良くてね。歯に悪い「雷おこし」でも「石ころ」でも、何が出ても食べただろう。


グーグルのストーリトビューに映っていた。

 名前を確と確認せずに来てしまったが、ググればわかる。これで次のロングウォークの目標が出来たのは僥倖というもの。これから彼女を、ドルシネーア(デル・トボーソ)姫と呼ぶことにする。
 そうそう、良い本を扱っていたちょっとマニアックな本屋は既に無く、他のものに変わっていた。日本中からいい本屋が消えてゆく。喫茶店にはドルシネーア姫がいる。


 ここから家までは7キロ以上あるだろう。暗くなりかけた半田街道を北へ向かい、八幡新田経由で西へ向かう。途中で完全に暗くなった。
 翔洋高校の近くまで来たところで自転車の男子生徒二人に挨拶された。
 顔も見えないのにだ。これには驚いたが、悪い気はしない。咄嗟に挨拶を返したのは言うまでもない。
 小学生もアイサツをくれるしご婦人が会釈してくれたりもして、すべてが神の采配と思って素直に受け取っておく。

 14時半に出て帰着したのが18時10分頃。いつもなら喫茶店などには絶対と言っていいくらい無縁なのに、この日は何かに引っ張られていつもと違うゾーンに入った感じ。
 21,500歩、15.6キロほどのちょいと歩き甲斐のあった彷徨、逍遥、立ち小用。知らない場所を無目的に歩く、これを小旅行という。


 



 畑と竹藪のあったところなのか、ソーラーパネルの設置作業が行われている場所があった。
 中部電力は、社名から「電力」という言葉を外す予定とか。もはや電気だけを売る経営は出来ない状況になってきている。寡占企業としてうまい汁を吸って来たのは、もう昔話になりつつあるようだ。







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2018.11.07 06:44:34
コメント(0) | コメントを書く


PR

プロフィール

sunkyu

sunkyu

カレンダー

バックナンバー

キーワードサーチ

▼キーワード検索

サイド自由欄

◆2006年5月8日よりスタートした「日歌」が千首を超えたのを機に、「游歌」とタイトルを変えて、2009年2月中旬より再スタートしました。
◆2011年1月2日からは、楽歌「TNK31」と改題しました。
◆2014年10月23日から「一日一首」と改題しました。
◆2016年5月8日より「気まぐれ短歌」と改題しました。
◆2017年10月10日より つれずれにつづる「みそひともじ」と心のさんぽに改題しました。
◆2019年6月6日より 「歌とこころと心のさんぽ」に改題しました。
「ジグソーパズル」 自作短歌百選(2006年5月~2009年2月)

「アーカイブ」
◎ Ⅰ  短歌
◎ Ⅱ 知っていて損はない話 健康と生活編
◎ Ⅲ 興味深いこと
◎ Ⅳ 興味深いこと パート2
◎ Ⅴ 自然界 地球 異常気象など

フリーページ

コメント新着

sunkyu@ Re[1]:★☆ 日本語の韻音とイメージ(10/16) やすじ2004さんへ 最高の季節ですね。お…

© Rakuten Group, Inc.
X