♪ 肉体を虐めるためのウォーキング心(しん)が体(たい)なすふしぎを生きる
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「へー、凄ーい!」と言うしかない話が飛び込んできた。
あの三浦雄一郎が、来年、南米大陸最高峰アコンカグア(6962m)に挑戦するという。33年前にも登頂してスキーでも滑ってるが、今回は、86歳という年齢の壁と、不整脈という荷物を背負っての冒険というから、呆れるというかただただ凄いとしか言いようがない。
1966年に富士山でスキー直滑降をしたし、70年にはエベレストの標高8000メートルから「大滑降(パラシュートを背負って)」もしている。そして、85年にはアコンカグアを滑って7大陸最高峰での滑降を達成している、偉大な世界的冒険家だ。だからといって86歳でアコンカグアにチャレンジするというのは、尋常じゃないねぇ。
それには伏線というか、すごいドラマがあるようだ。
53歳で燃え尽き症候群に陥ってしまい、それ以来、不摂生な生活を続けていて酷く無残な姿を晒していたらしい。札幌に住んでいた当時の体の状態はかなり深刻なもので、「この分じゃ余命は3年もない」と言われたとか。
ビール飲み放題、焼肉ジンギスカン食べ放題の毎日で、身長164cmの体で体重が90kgを超えていたという。
病院に行ったら、血圧は190超え、糖尿病で腎臓もこのままいったら1年以内に人工透析と告げられ、おまけに心臓がガーンとつかまれるように痛くなる狭心症まで患って。
しかし、65歳の時に一念発起。
そうさせたキッカケがまた凄い話なの。
父親(三浦敬三)が、90歳を超えてからスキーと登山で3回骨折しているのに、「99歳になったらスイスのモンブランをスキーで滑る」と言いだしたという。それで怪我を全部治しちまって、とうとう「99歳でモンブラン・スキーを実現させた」というから凄い。ここまで来るともう、奇人以上、怪物だね。
「よし、親父がモンブランなら俺はエベレストに登る」と、決意したというんだね。凄い冒険家にはその上を行く、凄いオヤジがいるんだよ。二重に驚いたわ。
父親譲りのチャレンジ精神というか、破天荒のオヤジには負けられないということだろう。「父は壁にならねばならない。越えなければならない大きな存在であり続けること」誰ぞの少年文学を読んでいる様な気分になった。
それで、必死で徹底的に体を鍛え直した。その結果、80歳までにエベレストを3回も登頂したんだから、オヤジも喜んだろう。
「90歳でエベレスト」という夢を掲げ、その足掛かりとしての今回の挑戦。ああ、気が遠くなってきた。
遠征に向けたトレーニングで富士山を訪れた
三浦雄一郎さん(左)と豪太さん(2018年10月)
同行する次男の豪太(49歳)さんは「筋力は強いが、心肺機能の衰えはある」と分析(わざわざそう言う凄さ)し、「肉体とは関係ないところでのモチベーションが上がっている」と驚いているとか。この息子もオヤジの凄さに接して、壁であることを意識しているのだろう。下山の時に一部スキーもするという。
「高所登山は人間の究極の体力が要求される世界」「病気や体力低下を嘆いている人たちに『やってみよう』という気持ちを起こしてもらえたら嬉しい」と本人は言う。かなり控えめな表現だ。この言葉の裏にあるものは、身体は「心」が支えるのだし、向上もさせるということだろう。
文章を読むとなんかキレイごとに思えてしまうのは、こちらにそういうハードな経験がないからだろう。物凄い努力の後の挫折とか、あるいは、人生のどこかでクリフハンガーがあって、それを乗り越えて今があるというような・・・。
しかしまあ、要はモチベーションの問題。出来るかできないかを決める前に「やってみて何が悪い!」と開き直るだけの欲求があるかどうか。
成功者とは、「成功するまであきらめなかった人」という言葉の重みを、どこまで自分に引き寄せられるか。
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