♪ ハシボソの嗄れだみ声 物言わず黒光りおるシャバーニが好き
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ハシボソガラスが二羽、この時期の決まり決まった行動で、柿の木を見下ろしながら鳴いている。PAの役割を担っているのか、ボリュームいっぱいで辺りに響き渡るかなりの音量。
すぐ傍の、距離にして10m足らずの電線の上。だみ声というか嗄れ声というかあの独特の悪声が、頭上から無遠慮に飛び込んできて部屋の空気を濁らせる。右翼の街宣車のごとき狼藉がさわやかな秋の昼下がりを台無しにする。喧しいったらあーりゃしない。ハシブトの方が厳つい顔をしているが、鳴き声はよっぽどましだ。
そっとカーテンの間からカメラを向けたら、気配を感じたのかピタッと鳴き止んだ。頭がいい上に用心深く、わずかな変化や気配を瞬時に捉える。どこぞの大臣に欠けている危機管理能力はかなりのものだ。見習ってほしいものだねぇ。
植物は動かない。毎年必ずそこにある。当然、実のなる木は野鳥の脳に記されてタイムスケジュールに沿ってやって来る。今年の出来はどうだ?
今年は裏年なので実の付きも悪い。前日にはムクドリが様子を見に来ていた。やけに早かったメジロを最初に見たのもこの木だし、それより前にはシジュウカラが虫を探しに来ていた。今は、ヒヨドリが同じ電線で鳴いている。
季節が分からなくなってきた中で、四季の変化と小動物たちのそれに付随して見せる変化の様子を観察できるこの柿の木は貴重な存在なのだ。人手に渡ったこの庭が将来どうなるか分からないが、この柿の木だけは残してほしいと思う。
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