♪ 拝謁の千載にして一遇の夢ならんかと詠進をせむ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
新型コロナの影響により延期となっていた令和3年の「歌会始」は、26日に皇居でフェイスシールドとアクリル板が使用されて行われた。入選者の一部はオンラインで参加。今年のお題は「実」で、日本国内と海外(13の国と地域)からあわせて1万3657首が寄せられ、17歳から80歳までの10人が入選を果たした。
天皇陛下
「人々の願ひと努力が実を結び平らけき世の到るを祈る」
皇后さま
「感染の収まりゆくをひた願ひ出で立つ園に梅の実あをし」
秋篠宮さま
「夏の日に咲き広ごれる稲の花実りの秋へと明るみてくる」
秋篠宮妃紀子さま
「竹籠に熟るる黄色の花梨の実あまき香りは身に沁みとほる」
秋篠宮家長女眞子さま
「烏瓜その実は冴ゆる朱の色に染まりてゆけり深まる秋に」
秋篠宮家次女佳子さま
「鈴懸の木から落ちにし実を割りてふはふは綿毛を空へと飛ばす」
常陸宮妃華子さま
「野鳥くる実のなる木々に植ゑかへて君は若かる庭師と語る」
寛仁親王妃信子さま
「実りある日のくるためにながさるる汗は力となるを信ずる」
寛仁親王長女彬子さま
「地図帳にあの日見つけし茶畑の不思議な点は茶の実のかたち」
高円宮妃久子さま
「戸隠の森にはびこる蔓柾(つるまさき)赤き実を食むは眉茶鶫(まみちやじない)か」
高円宮家長女承子さま
「自室より画面越しにて繫がりて旅せぬ集ひも実現したる」
▽召人(敬称略)
加賀乙彦
「千年を生きむ樟の木が実在し巡りて子らは駈けつこをする」
▽選者(敬称略)
篠弘
「野に棲めば己がからだは実たされて銀杏黄葉を両手に掬ふ」
三枝昂之
「軒下の甲州百目まろやかにこのあめつちの実り明るむ」
永田和宏
「若き日の実験ノートに残されて芙蓉のごとき歌の断片(きれはし)」
今野寿美
「写実派が鳥の巣ゑがきその底のたまごふたつの聖なる斑(まだら)」
内藤明
「いましばし眠りて待たむ茂り合ふ生命の樹に実の色づくを」
▽入選者(敬称略)
秋田県 柴田勇(80)
「大学の実験室は旧兵舎窓辺に寄りて目盛を読みぬ」
福井県 杉崎康代(77)
「見合ひ終へあなたの母から門前でゆすらの紅実(あかみ)てのひらにうく」
三重県 加藤京子(71)
「此処よりは世界遺産と言ふ森の土やはらかし橅の実落ちて」
埼玉県 渡辺照夫(68)
「台風の進路予測を聴きながらまだ少し若い梨の実も穫る」
神奈川県 松山紀子(58)
「実践に臨む瞳のあどけなさロボットはわが言葉聴きをり」
東京都 石井豊彦(56)
「今日からは臨床実習の冬の朝少し足早に聖橋渡る」
広島県 山本美和(53)
「シールドの向かうの客に釣り渡す架空のやうな現実にゐる」
東京都 吉田直子(24)
「空白に史実のピース集めても想ひつかめぬ歴史のパズル」
長野県 木下玲奈(24)
「せんせいと子らから呼ばれ振り返り実習生は先生となる」
新潟県 藤井大豊(17)
「七限の書道の授業は「実」の文字最後の払ひに力を込める」
今回も一応応募はしたもののあまりいい出来ではなかったので入選は当然あり得ないと静観していました。歌会始の儀そのものがどうなるかも分からないままでしたが、なんとか伝統が途絶えることなく開催された事を喜ばしく思います。
あの長鳴鶏(ながなきとり)のように語尾を長ーく伸ばして、自分の歌を読まれるのはどんな気分なのでしょうか。皇居の宮殿松の間に招かれることそのものが異次元の体験でしょうから、そこに足を踏み入れた段階でもう尋常な心持ちではないでしょう。その雅やかな空間にいることを夢見心地に浸っている自分を、客観的に眺めるような余裕は無いでしょうねぇ。
翌日は、お言葉を掛けられて何と答えたか思い出せないような、夢だったのかと疑いたくなるような気分で目が覚めるのでしょうか。
それにしても、全員がマスクをしての松の間の儀式は無粋そのものですね。雅やかなものと生々しい疫病との対比があって、1200年の短歌の歴史を語る教科書に写真が載るかも知れない。
後日、いつもの様に入選歌の考察をしてみたいと思います。
■ 2017年「歌会始」入選歌の考察
● 2018年「歌会始」入選歌の考察
● 2019年の歌会始入選歌を考察してみる
〇 2020年入選歌 この年は応募しなかったので考察はしていない。
来年のお題は「窓」ということです。締め切り間際に慌てて作歌するような事のないよう、「今年は早めに準備をしなければなぁ」な~んて思っています・・・。
|
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.04.01 07:00:30
コメント(0)
|
コメントを書く
もっと見る
|
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
エラーにより、アクションを達成できませんでした。下記より再度ログインの上、改めてミッションに参加してください。
x
プロフィール
sunkyu
日本の四季と日本語の美しさ、面白さ、不可思議さ、多様性はとても奥が深い。日々感じたことを「風におよぎ 水にあそぶ」の心持ちで短歌と共に綴っています。 本業は染色作家
|
サイド自由欄
◆2006年5月8日よりスタートした「日歌」が千首を超えたのを機に、「游歌」とタイトルを変えて、2009年2月中旬より再スタートしました。
◆2011年1月2日からは、楽歌「TNK31」と改題しました。
◆2014年10月23日から「一日一首」と改題しました。
◆2016年5月8日より「気まぐれ短歌」と改題しました。
◆2017年10月10日より つれずれにつづる「みそひともじ」と心のさんぽに改題しました。
◆2019年6月6日より 「歌とこころと心のさんぽ」に改題しました。
★ 「ジグソーパズル」 自作短歌百選(2006年5月~2009年2月)
「アーカイブ」
◎ Ⅰ 短歌
◎ Ⅱ 知っていて損はない話 健康と生活編
◎ Ⅲ 興味深いこと
◎ Ⅳ 興味深いこと パート2
◎ Ⅴ 自然界 地球 異常気象など
|
|
|