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歌 と こころ と 心 の さんぽ

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2021.09.07
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テーマ:短歌(1697)
カテゴリ:

♪ 植えっぱなしを条件とする花選び水やりさえもいとう猫好き




きのうの夕方の空

 環境が変わって気持ちが散漫になっていて、そわそわとして落ち着かない。何もかもが集中できずに中途半端になっている。40年慣れ親しんだ風景が一変した上に、住環境そのものが大きく変ったのだから当然のことだろう。自宅の改装も控えているし、それに伴ってやるべきことも幾つかある。

 短歌にも集中できていないので、自分でもあまり出来が良くないとは思っている。惰性で続けてはいるけれど、これこそルーチンになっているので中断したくはない。この際、基本に戻ろうと思って借りてきた入門書「『ここからはじめる短歌入門』坂井修一」。これがなかなか中身が濃く単なる入門書なんかではなく、ベテランの歌詠みにとっても参考になる内容となっている。
 今朝、たまたま古い「NHK短歌」(2011年9月号)を見ていたら、この本が紹介されているのに気づいた。当時はまったく目に入らなかった。


 角川「短歌」に、2008年5月から2010年4月号まで掲載された文章をはじめ、「生きることは歌うこと」「短歌の技法」「短歌を作り続ける」「二十一世紀の若者のために」という章で構成されている。
 東京大学・ 大学院情報理工学系研究科・ 電子情報学専攻 教授というコンピュータの泰斗なだけに、ITの世界に生きる立場を通して述べられる内容はただの入門書とはわけが違う。
 この本の、重要な記述のところを抜き書きしておいた。
 
「ここからはじめる短歌入門」坂井修一
 「一番大切なこと

 短歌をつくることの芯に何があるのか、ということ。これは歌をつくる人ひとりひとりで異なることです。しかし、何もないままでつくるのは、意味のない装飾品をつくることと同じで、空しいだけのことです(何もないままで作ることと何もないことを歌うことはちがいます)。

「自分の小説家としての仕事を短くいうならば、言葉をみがくこと、みがいた言葉によって自分を表現することだ、と考えています。言葉のエラボレーション(骨折って作りあげること)ということが、私が生きる働き、labor の中心にあります。しかもそれは、社会、世界に背を向けてただ言葉をみがくだけの、オタク的な生き方とはまったく違ったものです。社会、世界に自分をつきつけることで、内面に根ざす表現の言葉を現実的なものに鍛えることなのです」(『「話して考える」と「書いて考える」』大江健三郎)

 この「小説家」ということばを「歌をつくる私」と置き換えてみればいかがでしょうか。
 私たちが日々短歌をつくることは、日本を代表する作家の創作行為とはぜんぜんちがうことだ。大江健三郎がいうほど深刻なものであれば、自分にはとても手を出せることではなう。自分などは、もっと日常的な喜怒哀楽や花鳥風月を楽しく詠えばいいのであって、「社会、世界に自分をつきつけることで、内面に根ざす表現の言葉を現実的なものに鍛える」など、とてもできることではない。そういう感想もとうぜんあるでしょう。

 いっぽうで、歌をつくろうという方々がかかえているさまざまな思いは、老若男女を問わず、それぞれに重く、激しく、深いものであることを、歌会や選歌を通じて、私などよく知っています。大江健三郎の文学には、人類の未来というような大きなテーマがあるわけですが、歌をつくる人もそうした大テーマにつながるかもしれない個々の課題をかかえもっておられる。小さな喜びや怒りや悲しみの表現の中に、「世界」への扉が見え隠れするのを私はしばしば感じます。そう感じるときに、テーマの大小とは別に、世界に自分をつきつけ、ことばを鍛えるということが見えてくる気がします。

 歌の題材はいくらでもありそうに思うのに、「世界に自分をつきつけ、ことばを鍛えろ」と言われると構えてしまって手も足も出なくなりそうだ。師を持たないものの気楽さと、緊張感のないことの悲しさを感じている。


今朝の空





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最終更新日  2021.09.07 09:33:51
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◆2006年5月8日よりスタートした「日歌」が千首を超えたのを機に、「游歌」とタイトルを変えて、2009年2月中旬より再スタートしました。
◆2011年1月2日からは、楽歌「TNK31」と改題しました。
◆2014年10月23日から「一日一首」と改題しました。
◆2016年5月8日より「気まぐれ短歌」と改題しました。
◆2017年10月10日より つれずれにつづる「みそひともじ」と心のさんぽに改題しました。
◆2019年6月6日より 「歌とこころと心のさんぽ」に改題しました。
「ジグソーパズル」 自作短歌百選(2006年5月~2009年2月)

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