♪ 風を染め歩道を染める山椿瞳の中も染められている
玄関に飾った椿。蕾の枝を採ってきて活けたのが2日(木)で、徐々に花を開いていった。侘助のようなタイプの花で、すぼまった形のままポロっと落ちるのだろうと思っていた。
バランスを取るために庭の山茶花を添えた。 それがどうだ、花びらに力を漲らせて目いっぱい開いて、
これ以上は開けないという感じ。 花の命をまっとうしている。雄しべなんか今にも飛び出していきそうだ。 椿も山茶花のように花びらを散らせばいいものを、何ゆえあんな花の終わり方をするのだろう? 武士は首が落ちるのを縁起が悪いと言って嫌ったらしい。そのくせ、江戸の後期になると競って品種改良などしていた。百種類並べて鑑賞したり、品評会をしたりしていたらしい。
実生で育てると、元の花とは違う花が咲くことがあるという。私も面白半分に種を蒔いた鉢植えが2本ある。
こちらは竹やぶの入り口付近に自生していた白椿。薄暗い中に妖艶な姿に心惹かれ、手折って持ち帰り、挿し木して育てたもの。花を付けるようになったものの、枝が細いのに大きな花が重く、しなだれてあまり格好が良くなかった。それを剪定し直して植え替え、今年再び花を付けるようになった。
昨夜、ついに椿の花が落ちた。今朝になって、裏返しに落ちていたのを返してみると、雄しべがピンと立ち上がっている。まだ生きているようで、本当は山茶花の様にハラハラと散りたかったんじゃないのだろうか。
最近、駆け上がる坂道の途中に自生の椿が何本もある。赤い花が散り始めている中で、小さめの深紅の花が歩道を埋め尽くすように散っているところがある。
その鮮やかな赤に靴が染まるような気がして、思わず足が止まった。
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