♪ 日本が消えない限り残るだろうひとの短歌と富士の朝焼け
空前の短歌ブームだそうだ。若い人が短歌を詠むようになったのは良い事だし、改めて五七調のリズムがこんなにも日本人の体質に合っていると、認識を深めているんじゃないだろうか。
心情をストレートに詠む歌の始まりは、1987年 に出版されて280万部のベストセラーになった俵万智の「サラダ記念日」からだと思う。万智の歌が盛んに詠まれ、短歌の垣根がなくなっていった。“五七調のリズムに乗せさえすれば短歌になる” というところから、心の中にあるものを吐露する道具ともなって、個人的に詠んでいる人がたくさんいた。
それがスマホで投稿できる環境が整い、コロナ禍がそれに拍車をかけて、とうとうブームにまでなった。クローズアップ現代が取り上げ、ヒット歌集が次々と誕生し、各地の短歌イベントの盛況とか、歌会を始めた大学生とか、バズった歌の下の句にみんなが好きな言葉を入れて盛り上がったり、短歌でマッチングする自治体を紹介したり・・・。
私の好きな歌人の東直子さんがゲストで、ブームの背景などを話していた。番組では、放送に当たって短歌を募集。一週間で1千首近くの歌が集ったとか。その一部を紹介し解説していた。
歌はまだ募集中なので、この際気軽に応募してみては。
万葉集の現代語訳がヒットしているとか。自己表現のツールとして、万葉時代の返歌のようなやり取りが生まれるかもしれない。すそ野が広がったことで公に通用するものになったとも言えるかも知れない。
しかし、ブームは必ず去っていくもの。だとしてもこの機会に短歌を詠む生活を経験した人は、今までとは違うものの見方や感じ方が出来るようになるに違いない。
ブームには素直に便乗した方が良い。何十年か後に必ずや、再びブームがやって来る。若い時に経験しておくと、その時の経験が役に立つ。年齢を重ねた分、若い時とは違う経験や視点をもって、そこでゼロから始めるのとは明かに違う作品が生まれるに違いない。
NHK+で、3/21(火) 午後7:57 まで放送中
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