♪ グローバルの一人となりて大谷の雄たけびに和し歓声を上げる
見届けたぞ~!! 日本野球、世界一の実力を。
この時、ジャスト0時00分
他のスポーツとはまったく違うタイプの球技、野球だからこその面白さがある。攻守が交互に均等に与えられ、すべての選手に打順が回って来る。守備には専門があってそれぞれに要求されるものが違う。フィールドが大きく収容人数も格段に多い。
丸い小さなボールを丸いバットで打ち、数ミリの誤差で結果が変わるという繊細さを内包している。ピッチャーとバッターが1体1で心理を読み合い、刹那刹那を積み重ねながら、状況が刻々と変化していく。バント、盗塁、敬遠、代打、継投。筋書きのない一発勝負のライブパフォーマンス。
ああ、野球とは何と面白い球技だこと。
大谷がMVPなのは世界中が納得でしょう。凄いやつだ。まさに「心・技・体」三拍子そろった完璧な選手。世界中どこを探しても、こんな漫画チックなスーパー・スポーツ選手はいない。我々は、空前の歴史が作られていく時に居合わせている。
クローザーとして大谷が登板。3-2で1点リードで迎えた9回表。ランナーを出すもののダブルプレーでツーアウト。そして、アメリカのキャプテンであり、エンジェルスの同僚でもあるトラウトに回って来るという最高にして、まるでシナリオが有るかのようなクライマックス。
最後は、曲がり具合といいコースといい、絶妙なそして最高のカーブで三振で締めくくった。この試合でトラウトは日本の投手に完璧に抑えられ、最後も一矢報いることが出来なかった。大谷を評価し尊敬しているトラウトだが、アメリカの威信を背負っての最後の最後に三振でゲームセット。この瞬間の彼の姿はいかにも無念そうだった。
個々の選手の活躍は言うまでもないが、栗山監督の手腕を無視するわけにはいかない。アメリカに飛びダルビッシュ、鈴木誠也を出場(負傷で断念)させ、ヌートバーを連れてきた。これほど選手と一体となってマネージメントできた監督はいないんじゃないか。
選手の話をとことん聞き、能力を見極め、選手を信じて任せる。理想を極め、要所要所での使い方に心血を注いだ。その采配は冴えわたっていたし、悉く成功して結果を出し続けた。将棋で言えば、金や銀、飛車・角ばかりの、ともすればバラバラになりがちの個々の力を最大限に活かし切った。まさに名伯楽と呼ぶに相応しい。
*追記
朝日新聞を読むまで知らなかった。20年ほど前、子どもたち誰でもが野球を出来るようにと、北海道の栗山町に「栗の樹ファーム」を開いている。私費を投じて、町の人たちと荒れ地を整え、芝を種から育てて、2002年に両翼70mの野球場を完成させた。だれでも気軽にキャッチボールが出来るようにと、球場の入り口にグラブやボールを置いていたという。
ケビン・コスナーの「フィールズ・オブ・ドリームス」のような、緑豊かな野球場を作りたいと、現役選手引退して以来抱いていた夢でもあったそうだ。同じ名前だということで町の青年会議所(JC)から観光大使を依頼されていたことがきっかけになっている。
11年秋に、日ハムから監督就任の要請が来たのは、「栗の樹ファームでの活動、スポーツキャスターとして野球に真摯に向き合う姿」が、誰よりも野球を愛していると映ったからだという。
今回、侍ジャパンの監督に選ばれたのは、その日ハムで育てた大谷、ダルビッシュとの絆が深いことが決め手になったと聞く。
偶然でもまぐれでもない、心底野球を愛してきた人が心血を注いで作り上げたチームだからこその快挙だったのだ。
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