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歌 と こころ と 心 の さんぽ

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2023.05.19
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♪ 言葉など使わなくても伝わると犬と居て知るこころことだま


 種を蒔いたゴーヤが幾つか余るので、息子の家の庭に植えてやろうと、下準備に行った。まったくやり手が無くて遊んでいる畑。

 昨年は朝顔を植えた。ネットがそのままになっている。放っておいて出来るものでないと無理だし、孫がゴーヤが好きだというのもあって。実を収穫するのも楽しいだろうし。

 柴犬・小次郎には久しぶりに会う。最初は喜んで飛びついてきたが、すぐに離れて行く。畑を掘り起こしているところへやって来て、自分でも何かしようとする。やることが3歳児にそっくり。そのうち得意の穴掘りをやり始めたりする。
 しかし、この日も暑かった。すぐに木陰に避難してじっとしている。そんなことを繰り返している小次郎は3歳か。だいぶ落ち着いてきたなぁと感心していた。

 玄関ポーチの敷石で休んでいることもあり、木陰に居ないならそこに居る。そう思っていたら、居ない。いつの間にか居なくなった。車庫への出入り口が引き戸になっていて、それが開いていた。戸のすき間に鼻を入れて広げ、出っていったらしい。
 さあ大変。嫁さんに告げると、慌てて外に飛び出していった。そのうち帰って来るだろうと思ったが、道路に出て車に轢かれることもある。首輪だけの犬がウロウロしていては他人に迷惑もかかる。私も反対方向へ探しに行った。

 こっちかなと見当をつけ、「こじろ~」と呼びながら行く。と、居た、いた! あっちへふらふらこっちへきょろきょろ、楽しそうにうろついている。呼ぶと振り返って “ああ来たか” という感じ。

 一度そばにきて私を確認。捕まえようとしたがスッと逃げられた。安心したのかどんどん先へ行って、止まる気配も見せない。時々後ろを振り返り、追って来るのを確認している。7~80mの距離がまったく縮まらない。

 向こうからお婆さんが自転車でやって来て、私の前で止まった。
「小次郎って呼んでいたので」隣のお婆さんだった。訳を説明し、「お嫁さんに、こっちに居るのでリードを持ってくるように言ってもらえませんか」と頼んだ。頼んだものの、無理なことだと気付いたがもう遅い。
 スマホも何も持たず、二人とも手ぶらで飛び出して連絡のしようがない。お互いがどこに居るのかもわからない。

 急に角を曲がった。慌てて追いかけいくとずいぶん先を歩いている。広い車道があって「とまれ~」とか「そっちはダメだ~」とか叫ぶが、伝わるはずもない。車道を渡ったところで 考えた。だいぶ遠くまで歩いてきた。充分歩いた。“追いかけると先へ行くので、追いかけるのをやめればあるいは・・・” と、ここで作戦を変えた。

 距離は縮まっていて、すぐ近くにいるので動きがよくわかる。振り返って戻る気配を見せた。しめしめ、うまくいきそうだ。案の定、足元に寄って来た。捕まえて首輪を掴みながら車道を横断。
 そのままの姿勢で家まで戻ろうかと思うが、姿勢を低くしてずっと歩いていくのは骨が折れる。


後から歩いた場所をたどってみた。1.4キロほど歩いている。

 さあこれからというところで、急に暴れ出した。首を大きく振り、捩じって、噛みつかんばかりに吠えて拒否する。手が離れ、再び自由になった小次郎。
 この瞬間、彼の矜持を見た気がした。「独りで帰れる!」との意思表示。そう受け取れた。「そうか、じゃあお前を信じる」
 それから付かず離れずの距離を保ちながら、前を行ったり後ろをあるいたり。時々脇道に入ったりするが、真っすぐ家に向かっていく感じ。

 いつも首輪とリードに繋がれている犬。外を自由に歩くことが出来ない。不服ながらも甘んじて受けている。従順にすることが宿命であり、そのことで可愛がってももらえる。すべてを理解し、よく分かっているのだ。
 小次郎は広い庭を自由に走り回れるので繋ぎっ放しの犬とは違うが、娑婆を自由に歩けるわけではない。


 来た道とは違う道を行く。散歩でも来たことがないと思われるエリア。流れの中で一軒の家の庭さきへ入っていった。室内犬がいるらしくその声の方へどんどん入っていく。その犬がけたたましく吠えたので家の女性が顔を出した。これには困った。
「なんですか~!」
「すみません、犬が逃げて・・」
「早く捕まえてください!」陰険な顔でどなられた。
「それが~・・」
 小次郎も具合が悪いことを悟ったのか、そそくさと通りの方へ。やれやれ。
 
 頭がいい犬だ。小次郎はちゃんと方角が分かっているらしい。先導するように歩いていく。こっちも初めて通る場所だが、大まかな地図が頭にあるので方角は分かる。“ああここを曲がるなら、あの辺りに出るんだな” と思いながらの帰り道。

 戻ってきて、さっさと家の庭に入っていく。そして、水をすごい勢いで飲んだ。
 一応、庭の中間にある扉に鍵をかけ、嫁さんを探しに出た。そこで丁度、先ほどの隣家のお婆さんがいたので、「お嫁さんに会えましたか?」。どうも不在だったようだ。犬は無事に戻ったことを報告。「どうも無理なお願いをして、お世話かけしました」
 
 歩き始めて “見つかるはず無いわなぁ、時間もずいぶん経っているし・・” と思い直し、近くを一回りして戻ってきた。玄関の戸が開いている。ちょうど行き違いになったようだ。嫁さんを呼ぶ。「一応要ると思って、これを取りに来たんです」と、散歩用具とリードの入った袋を見せて。帰ったら犬が戻っていたのでホッとした様子。よかった。すべてがいいタイミングで収まった感じ。
 
 まさか小次郎が自分で戸を開けるとは知らず、私の不注意でこんなことになった。嫁さんには心配をかけ、いらん労力を使わせてしまい、ホント悪いことをした。でも、小次郎は楽しかったに違いない。小次郎と意思疎通ができた気がする、私も楽しかった。

 言葉を持たない動物はちゃんと意思疎通ができる。“心が分かる” とは、相手を信頼できるということだろう。

*画像(地図以外)はすべて過去のものです。





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最終更新日  2023.05.23 05:24:43
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◆2006年5月8日よりスタートした「日歌」が千首を超えたのを機に、「游歌」とタイトルを変えて、2009年2月中旬より再スタートしました。
◆2011年1月2日からは、楽歌「TNK31」と改題しました。
◆2014年10月23日から「一日一首」と改題しました。
◆2016年5月8日より「気まぐれ短歌」と改題しました。
◆2017年10月10日より つれずれにつづる「みそひともじ」と心のさんぽに改題しました。
◆2019年6月6日より 「歌とこころと心のさんぽ」に改題しました。
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