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歌 と こころ と 心 の さんぽ

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2023.10.10
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カテゴリ:ことば

♪ 形象に穿つ言葉はレクイエム文字もて描くいのちの賛歌


 中日新聞「この人」欄にこんな人が紹介されていました。文字だけで絵を描くということで注目を集めているらしい。それでちょっと興味があって、ネットで調べてみた。

 今までの作品の一部がオフィシャルサイトに紹介されているのであらましのことは分かりました。このオフィシャルサイトの作品を見ると、愛犬の名前とか動物名とか線を表す記号のようなもので描かれている。文字によるメッセージ性がないのが不満に思えた。


愛犬のミニチュアダックスフンド

 


キリンの親子。拡大します。


 ディティールを見るとほぼ一種類の言葉で描かれているのがわかる。
 24歳でアメリカに2回目の留学時、ロスの短大でアートを専攻していてアルファベットを使って絵を描くという課題があった。それで、神戸町で家族と暮らしている大好きなワンちゃんが頭に浮かび、その名前でワンちゃんの似顔絵を描いた。一番上のミニチュアダックスフンドのチョコがそれらしい。

 そして、卒業制作のテーマを愛犬のレオにして描いたものが先生に評価され、「こうしたアートがないからやってみたら?」の言葉が制作する切っ掛けとなっているんだとか。
 子どもを育てている期間を経て本格的に取り組むようになり、SDGsへの想いをアートにしてわかりやすく描いていこうと思うように。


ゾウの親子は「LOVE」「tenderness」とか「PEACE」とかで描かれている。

 
ウミガメや白くまの画像を拡大してみると、アウトラインが日本語の
メッセージで書いてあるのが分かる。

 これは「プラスチック問題」だし、こっちは「地球温暖化問題」だと、テーマは広がっていく。
 ウミガメは「プラスチックを減らしてください」、シロクマは「氷が必要です」という言葉で描いている。

 最初に見た時は、アートというよりもクラフト的な手の込んだ絵画という印象で、グラフィックデザインの一種かなと思えた。様々な方面から依頼を受けるようになって「ことば」そのもののウェートが高くなっていて、メッセージ性がますます強くなっている。
 
 
この犬やキリンの親子のようなカラフルなものが好きだ(拡大します)。

 これらの絵は、私には亡くなっていく命への鎮魂の絵に見えてくる。ことばで形象を表してそのものの外側にあるものへのオマージュ。声高に叫ぶのではなく絵に言葉を着せて慰撫するような、慈しむような感覚。痛々しさも感じられて切なくなってくる。

 他には無い手法という意味では価値があるが、真似して出来ないことはないとも思う。イラ10とか便利な画像ソフトを使って、レイヤー機能などを駆使すればそんなに難しくはないだろう。
 しかし、ちゃんとしたデッサンと描写力がなければオリジナルなものは表現できない。透徹した目と洞察力がなければ所詮は大したものにはなりえない。
 その点で彼女の描写力は確かだし、今後ますます感性を磨いていけば世界に通用する領域に達することが出来るかもしれない。


文字ベースアートで環境問題や平和を訴えるメッセージを送る浦上愛子さん
2022年6月10日(朝日新聞)
「愛を送ろうプロジェクト」と題し、訪れた人からの寄せ書きが添えられている。ウクライナの女性が子どもを連れて避難する映像を目にし、「文字と絵の力でウクライナの人たちの希望になれれば」とプロジェクトを企画。絵をカメラで撮影し、戦火を逃れるウクライナ人を支援するNPOなどに送って現地に届けることに。


 切り絵にしろ超細密えんぴつ絵にしろ、どこまで徹底的にやるかという修行僧のような、ストイックで執着的な性格でないと人を感動させることなど出来はしない。
 持って生まれた才能の上に、もう一つ別な才能を開花させ磨き上げてこその世界。ジャンルは違うが牧野富太郎もそういう人だったのだろう。世間の眼とか慣習、常識とか言う枠を意に介さず、自分の道を突き進んでいく。
 常人ではない何かが憑依しているような超人の世界を見せられると、凡人はもう平伏すしかないね。





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最終更新日  2023.10.10 11:13:48
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◆2006年5月8日よりスタートした「日歌」が千首を超えたのを機に、「游歌」とタイトルを変えて、2009年2月中旬より再スタートしました。
◆2011年1月2日からは、楽歌「TNK31」と改題しました。
◆2014年10月23日から「一日一首」と改題しました。
◆2016年5月8日より「気まぐれ短歌」と改題しました。
◆2017年10月10日より つれずれにつづる「みそひともじ」と心のさんぽに改題しました。
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