♪ 古家に和洋折衷日本の良さと悪さの間(あわい)に生きる
ソファーの買い替えに当ってこだわったのが、「3人掛けでハイバック、布製で、座面の高さや奥行きがちょうどよく、座り心地のいいもの」。そんなすべてが希望通りのソファーが、意外に近くで見つかった。あとは値段だけだ。
【GRACE/グレースFAB】ファブリックソファ 3P W173 × D85 × H93(SH39)
ひじ掛けを枕にして、昼寝をするにもちょうどいい長さ。
値引き交渉をしておいて、同じものをネットで調べ、別の大きな各店にも行ってみたりもする。いざ買おうかという段階になって、配送料が2,000円、古いソファーの引き取りに6,000円もかかると聞いて躊躇ってしまった。しかし、調べた結果どこで買っても同じようなことらしい。
古いソファーは自分で処分することにして、最終値引き交渉に。クリアランス価格53,000円(税別)だったものを、2度の交渉で合計57,000円(ソファー49,818円+運搬料2,000円に消費税5,182円)というところまでこぎつけた。展示品ということで、本来なら63,000円のところが6,000円安くなったことになる。
★ 製造元は中国で、発注した会社はよく分からない。九州に家具メーカーが多く、違う会社からも同じブランドのものが売られている。ニトリからも同じようなものが4,990円で出ていて送料2200円がかかる。質は少し落ちるようだ。
どうせみんな類似品。中国は写真を見せればそれとそっくりのものをあっという間に作って見せるという。布の種類とかを変え、微調整して発注すると似ているが少し違う商品が出来上がるというわけだ。
しかし、家具店なんてやるもんじゃないね。製造販売ならまだしも、仕入れて販売するだけでは、場所は取るし運ぶのも大変。高度成長期ならいざ知らず、価格競争で利幅が少なくなり、人口減や生活様式の変化でセット家具を買う人も少なくなった。経費ばかり食って、身動き取れずどうにもならない。
その点、宝飾品などはおいしい商売だ。
──── ☆ ────
そう何度も買い替えるものでもない家具。しかし、ソファーは日々の生活の中でかなりウェートが高い。その良し悪しはかなり重要になって来る。高度成長期の住宅には応接間があり、必ずソファーセットが当然のように置いてあった。椅子の生活には慣れていないので、下に降りて床の絨毯に座り、椅子は「背もたれ」になっていた。
それから30年ほど経って、応接間がリビングとなり椅子の生活が当たり前となった。しかし、日本人の体形と生活様式にマッチした椅子やソファーが、本当に少ないのはどうしてか?
大型家具店に並んでいるソファーを、幾つも座って試して見てもこれはと思うものが皆無。見てくればかりに囚われて、人間工学的なアプローチで設計・制作されているとはとても思えない。非常に遅れている。
木工所が新しい売れ筋としてソファーを手掛け始め、「形」優先で来てそのままデザイン競争に入って、現在に至っているのが現状のようだ。歴史が浅いなんて言ってる場合じゃない。
椅子は座って試すことが出来るが、人生で最も高価な買い物の「家」は悲しいかな、住んでみることが出来ない。家は隠れ家、あるいは雨風から身を守るための避難場所的なものから始まっている。そのため、こちらがその状況や環境に合わせるしかなかった。
そういう意識が抜けきらないでいるのかもしれない。だから「住めばみやこ」とか言って、不都合な部分も我慢ができてしまうのだろ。
☆
その点、椅子は違う。身体そのものに直に影響を与える。ちょっと具合が悪いなぁと思いながら、毎日使っている。そのこと自体が大きな問題で、姿勢が狂って、障害が出る原因にもなる。大部分が我慢して使っているのが現状だと思う。
こういう提案をするばかりで、本質的な部分が欠落している。
サーフェースと素材と構造ばかりを問題にしていて、背もたれの角度や高さ、座面の構造と形状と奥行き、クッション性など、疲れにくいための設計などに言及しようともしない。
|