♪ 夢を見る苺の木の実あかあかと鈴なりになる熊寝る森に
ウォーキングしていると時どき見たことのない、名前もなにも分からない木に出会うことがある。この日に見た木もそう。とても目を引いた。
花は満天星つつじとか馬酔木に似た、スズランのような釣り鐘型をしている。何だこれ!?
沢山の黄色い実がぶら下がり、赤く熟しているものもある。大きさは直径12ミリほどで、山桃の実より少し大きい感じ。
いつものごとくGoogleで画像検索。ツツジ科・ イチゴノキ属の木で、「イチゴノキ(苺の木)」ストロベリーツリー。
イチゴノキの原産地は、地中海沿岸でアフリカ側はモロッコ、アルジェリア、西側はスペイン、ポルトガル、東側はトルコ、シリアに分布。
地中海から離れたアイルランドの南西部にも自生。 アイルランドへは、1万年くらい前にイベリア半島から古代人と共に入ったのではないかとの説があるとか。小型の常緑樹で、ツツジ科の植物には珍しく、アルカリ性の土壌でも生育するとか。
確かに賑やかな感じのする木で、花の少ない秋には良く目立つ。
イチゴノキの野生種には、白から紅色まで花色の変異があって、ベニバナイチゴノキは
紅色の花を咲かせる。
壺形の小さな花を晩秋に咲かせ、果実は年を越し、翌秋に、緑色から黄、オレンジ色、赤へと変化しながら晩秋にに成熟する(形がヤマボウシの実にそっくり)。
成木になると、樹皮が赤く美しくなる。花と果実が少ない時期に観賞できる貴重な花木。果実は食べられるが、そのままでは美味しくないらしい。
ヒメイチゴノキ 矮性品種のヒメイチゴノキというのもあって、成長が遅くてコンパクト。イチゴノキは背丈が5~12mほどになるが、3m以下に収まるので庭木にするのに好都合とか。
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さらに、「カンポンボーイの果物歳時記 南米編」から引用させていただきます。
イチゴノキは地中海性気候の乾燥した夏に適応した低木ですが、気候への適応性が高く冬の寒さや夏の多湿地でも育つ。砂漠、海岸の砂地、潮風、強い風にも耐え、日陰にも強く、痩せ地にも育つので、海岸の緑化、砂漠の緑化にも利用される。繁殖は種でも挿し木でも行える。
菌類との共生関係があり、ある種の菌(菌根菌)が根に着くと生育が促進され、耐乾性が高まることが判っている。
山火事で焼けた荒地に最初に芽生えてくるような植物なので、定着すると蜜蜂の食料となり、小鳥の餌となる。常緑の藪は昆虫や小動物の棲み処になって自然回復に役立つ。
この木の葉を食べる蛾(Saturnia pavonia)はいるが、鹿はこの木の葉を食べないらしい。
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スペインでは、首都マドリードの盾形の紋章にイチゴノキの赤い実を食べようと立ち上がっている黒い熊の絵が描いてあるとか。市内には有名なイチゴノキと熊の銅像があり、木が公園に植えられているとか。
イタリアでは、イチゴノキの葉の緑、花の白、果実の赤を、国旗の緑、白、赤のストライプと関連づけて、19世紀のイタリア統一の際にイタリアの国民的シンボルとされた。それでイチゴノキはイタリアの国を象徴する木になっているらしい。
クマがこの実を好み、乾燥した夏に適応し冬の寒さや夏の多湿地でも育つとあらば、今問題になっているクマの食糧難のために活用できるのではないか。
山の中に、種や挿し木で増やした苗をたくさん植えてやる(鹿はこの木の葉を食べない)。それで、里に下りて来なくてもいいような環境を作ってやるわけだ。
NHK 2023年10月22日
石川県立大学の大井徹特任教授は過去最悪の被害が出ていることについて、「もともと、餌となるドングリなどの不作の影響によってクマの出没や被害が多くなる年があるものの、近年はクマの生息範囲が広がっているほか、生息数自体も増えているという見方もある。狩猟をする人が減り、人里では耕作放棄地も増えてクマが生活しやすい環境に変わってきているうえ、山を下りて人里と隣り合った地域に暮らすクマも増えているとみられ、被害の増加を深刻に受け止めるべきだ」と指摘している。
駆除も同時に行い、人間は怖いというイメージを植え付ける必要もある。その上で共存できる環境を新たに設けてやる。人間が壊し続けている自然に報いるために・・・。
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