♪ ねこの子の話しでつなぐ初対面和毛のような時をなでつつ
夕方おそく不意の来客。誰かと思えば次男だった。紹介すると言って彼女を連れて来たのだった。前もっての連絡もなしで、突然のこと。彼女はいると聞いていたので驚きはしなかった。次男らしいやり方とでも言うか、それはそれでサプライズとなって悪い気はしなかった。
上がってもらって、炬燵に入って対面する。次男はもういい年で、彼女は7つ下とのこと。5年ほどの付き合っていて最近、同棲を始めたらしい。
カミさんは孫の野球の試合を見に行って帰って来たばかり。「居ないかもしれないよ、連絡した方が良いんじゃないのって、何度も言ったんですけど・・」と彼女。でもまあ二人とも在宅でよかった。
普段の生活はあまりしゃべることもないので、来客があるとついついお喋りしてしまう私。「お父さんは無口だと聞いていたので心配していたんですけど、安心しました。」なんて言われて、面食らってしまった。そう言われれば確かに、親子・男同士であんまりしゃべって来なかったなあと、今更ながら関係性が薄さに飽きれる。次男はことのほか無口で、一方的にしゃべることになるし、自慢話みたいになっていくのが嫌でつい自重して・・。
「一歩外へ出るとよくしゃべるんです。本当は社交的なんですよ。」
猫は飼ったことはないけど好きだというので、話が合うし何かと好都合。猫の話ならいくらでもある。長男の家の猫とか、向かいの迷い猫の写真、アランの近影を見せたりする。
「アランの前に飼っていたのピピは、窓の外で啼いているのを次男がピックアップして、ちゃっかり胸の上に乗せていたのが飼い始めたきっかけなんです」。何か知らないが次男は動物に好かれる。孫も1歳未満のころ、次男に寄って行ってくっついて離れなかった。「彼は、何か不思議なものを持ってるみたいなんでよ。」
無口なのは二人一緒にいても同じらしく、身内のことなどあまり話していないらしい。“今日初めて聞きました” というものが多く、「知らない固有名詞がたくさん出てきて・・」と、戸惑うやら驚くやら。楽しい、いい時間を過ごしてくれたようだ。素直でへんに媚びたり遠慮したりするところもなく、初めて会ったような気がしなかった。
社内で知り合った仲なので、仕事のことは良く分かっている。今、あまり業績が良くなく、それが不安で結婚に踏み切れないらしい。宙ぶらりんなまま苦悩している様子で、何の手助けも出来ないのが歯がゆい。
「人生は何があってもおかしくないし、なんとかなるものだよ。」「戦争があった時代もあるし、予測できないことだらけだし・・」
「天変地異だっていつ起こるか分からないからね。」「地球の、マントルの薄皮一枚の上に乗かって生きているんだからねえ。東海、東南海地震だっていつ起こるかもわからないしね。」
「だんだん話が広がっていきますね。」
「小さくなっていくよりいいでしょう?」
「まあそうですけど」
正月にまた来てください。みんなと一緒に、ゆっくりね。「お酒が飲めないのが残念です。兄もお嫁さんも、次男もカミさんも飲めないので、私一人孤立してるんです。」
笑いも取ったりして、とても楽しいひと時だった。
私は自我を出し過ぎるところがあるし、知ったかぶりで知識を押し売りするようなところがあるようだ。以前、それに気づいてブログにも戒めの言葉を書いていた。それをすっかり忘れている。
人の話を聞かず、自分のことばかり主張して相手に付け込むスキを与えない態度。それは嫌われるだけで、孤立するもとだと言われていた。今後、胸に叩き込んで、好々爺に徹するくらいの気持ちでいるように。
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