黒川伊保子氏の「商品名と言語音に関する研究」
例えば k の音の場合、喉を硬く締め、強く息を出して喉をブレイクする。喉をブレイクスルーした息は、最速で口腔内を抜ける。最速で抜ける息は唾液と混じらないので、ことばの音の中で最も乾いている。したがって、k 音を発音する度に、発話者は硬さ、強さ、スピード感などの音象徴を体験しているという。
例えば新幹線の「ひかり(hi-ka-ri)」について次のような分析をしている。
先頭拍 hi の「早さ」の音象徴と、第二子音 k の「速さ」の音象徴が響き合い、「未来に向かって走る」スピード感が創生されている。さらに、第二拍 ka は輝きの音象徴も表し、ここでは k は 2 つの役割を担っていることになる。最後の子音 r は透明感を提供し、語尾母音の i も突き刺すようなスピード感を提供する。よって「ひかり」は、光のイメージそのものの印象を与えるとしている。