毎日あわわ

ヒッチコック傑作！

フレンジー
1972年　イギリス＝アメリカ　　116分
アルフレッド･ヒッチコック　監督

ストーリー
バーテンのブレイニーはパブをクビになる。逆上（フレンジー）型の性格でだらしがない事も原因だった。友人に話しかけられたが、厚意も断り、別れた妻の元へいく。彼女の事務所で、うっぷん晴らしでもするかのようにわめきたてるが、彼女は気にもせず食事に誘うのだった。翌日、彼女が殺される。話題のネクタイ絞殺魔の仕業らしい。彼女の秘書は、ブレイニーが犯人だと証言する。

はっきり言って、めちゃめちゃおもしろい。
この作品と、あと1本「ファミリープロット｣を遺して
ヒッチは亡くなるのだが、どっちも傑作！

もともと巻き込まれ型サスペンスが得意な彼の
”間違えられた男”系の話だ。
謎解きではない。

作品は、犯行と彼を平行して追っていく。
私たちは、犯人を知っているのに劇中の人物たちは
そろいも揃って、主人公を犯人と思い込み、追い詰める。
しかも、追い詰められ方が半端じゃなく、
はっきり言って、どう覆すのか、釘付けになって見た。

ヒッチの作品は、現代では古典。
今見ると、古いかもしれない。
しかし、謎の張り方や、映画技術、小細工にいたるまで、
本当に楽しめるんだ。
もちろん、突っ込みながら見てください。
「そんなアホな」ってシーンもあります。

でも、この作品は、そこを割り引いても本当に楽しい。
ハラハラ、ドキドキ･･･
まったく無名の役者ばかりなのに、
映画はそんなことではないんだって、思い知らされる。
しかも、ヒッチらしくなく、不美人ばかり！

ヒッチコックは、パツ金コンプレックスを持っており、
起用するのは、金髪美女ばかり。
バーグマン、グレイス･ケリー、ジョーン･フォンティン･･･
おお、大物ばっかだ。
しかし、今作では役者に大物が見当たらない。
美女も見当たらない。
全2作でこけたからなのか、もっと深い理由なのか。
20年ぶりに、故郷ロンドンで撮影したそうである。
そのことも関係あるのか？
で、大物がいないってことは、
観客に敵がいないってことでもある。
やりたい放題できるってことなんだな。

ヒッチさん、公開時、御年７３歳。
地味ィな、でもとても味わい深い作品を送り出したんである。



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