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カテゴリ:読書
巴金の《家》《春》《秋》の激流三部曲を一気読みした後、巴金の作品を
もう一つくらい読んでおこうかなと思ってネットで買った《寒夜》が 月曜日、帰宅したらポストに届いていました。 というわけで火曜日からすき間時間に読書。読書。 《寒夜》の初版本の表紙を使用したらしい暗~~い表紙デザイン。 せめてしおりくらいは元気に! ということでしおりは角川つばさ文庫の「ぼくら」シリーズです。 朝、早めに出勤して30分。 昼休み大急ぎでお弁当を食べた後の45分。 で、今日、金曜日にどうしても読み終えたかったので家に帰ってからも ずっと読んで23時に読み終わりました! お話としては、主人公・汪文宣の悲しい一生。 彼は自分の母親と同居していて、その母親は妻と非常に仲が悪いのです。 彼の母は常に嫁の樹生の粗探しをし、何かというと彼女に嫌味をぶつけています。 そして気の強い樹生はその度に夫の汪文宣に不満をぶつけ、時には家出をすることもあります。 そのような状況の中で息子であり夫である汪文宣は 母親と妻との間に入ってうまくいくよう仲裁するでもなく、どちらか一方の味方もできず 「あ~あ。この争いはいつまで続くのかなぁ。いつか終わるといいなぁ。」 と、ずっと指をくわえて傍観している感じ。 姑の嫌味に耐えかねた妻が姑に反撃しようとすると、汪文宣は 「ボクのママをいじめないで。」的なうるうるした目で妻を見つめるらしいです。 (妻が彼に向けたお別れの手紙でそう書いていました。) なんかいやだよねぇ。こんな夫。 妻の樹生はなんでこんなヘタレな男性と結婚したんだろう?と思いましたが、 文中にちょっとだけ(ほんとにちょっとだけね)彼女と知り合った若い頃は理想に燃えて 事業を興そうとした時もあったみたいなことを書いてあったので、若かった彼はもっとましな 男だったのでしょうかね? とにかく、汪文宣は何も行動しない人。何も発言しない人。 会社でも全く目立たず、存在感の無い人。 小説中では彼の愚痴っぽいセリフがたくさんありますが、ほとんどが 「と、彼は心の中で思った。」 ばっかりで、実際に発言はしないんですよね。ガクッって感じ。 ほんと、やだ、こんな男。 物語の出だしから汪文宣は体調の悪い元気のない男として登場しますが、 中盤から本格的な肺病になって、血の混じった痰を吐いたり本格的に吐血したり。 それで会社も辞めさせられたり。 悲惨だな~(;´Д`) 悲惨だな~(;´Д`) とずっと思いながら読みすすめました。 とにかく、楽しい場面が一つもなかった。 なんでこんな暗い話なんだ? ここまで悲惨だともう逆にコメディだよね? ってくらい終始ジメジメしていました。主人公の汪文宣は。 心で思ったり、願ったりするだけで実際には全く行動に移せない汪文宣。 「僕は何も悪いことはしていないのに、なぜぼくだけこんなに辛い目に遭うんだ?!」 と度々(心の中で)叫びますが、それは自分からは何一つ行動をしなかった彼にも 少なからず原因があるのでは?と思わざるを得ませんでした。 まあ、肺病になったのは彼のせいではありませんけどね。 あと、巴金の《家》《春》《秋》を読んだ時に、「教科書みたいな文章で読み易い!」 と感動したことを書いていますが、それとは打って変わって、この《寒夜》は なんだかやさぐれている感じがしました。 具体的にどこが?と言われるとうまく言えませんけど。 というわけで、以上が《寒夜》の感想です。 とにかく、いつも言葉を発しようとして結局は飲み込んでしまう汪文宣にイライラします。 そういえば《家》の高三兄弟の長男・覚新もこんな感じだったかな? と思いますが覚新は大金持ちだったので生活に困窮する汪文宣と比べたらまだましだった? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023.06.17 08:21:12
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