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カテゴリ:八房之記憶
不意に閉じられた彼の日記を不審に思い、階段を上っていくと、部屋にいるのは首を吊った彼の姿でも、旅の支度をしている彼の姿でもなく、変わらずパソコンの前でぼーっとしている彼の姿であった。
「加速度的に崩壊している」彼は、一見そうは見えない。愚か者は、それで安心をする。 しかし時折見せる彼の狂喜の目と、無表情な顔、支離滅裂な言動…特に、彼の周囲にいる女性たちへのそれに関しては、みているこちらがはらはらしてしまうほどである。もっとも皮肉なモノで、そんな彼の姿が、彼女たちをして「面白い」人であるように映っているようだが。 「今に何かがおこるよ。」 彼はそう語る。何かは何?と尋ねると、「なんでもない何かもしれないし、想像を越えた何かもしれない。」と返ってくる。 不安が、この部屋に沈殿していく。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005/10/09 09:21:55 AM
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