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HASIRA

HASIRA

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2005/10/17
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カテゴリ:八房之記憶
黙り続ける車内。渋滞のテールランプ。車線を変える彼女の手が、いらついている。ゆらゆらとゆれる僕の身体。これ以上何をしゃべればいいのだろうか。言うべき事はすべて言った。僕は自分自身が開放される為に言ったつもりはない。ただ彼女に負担をかけたくないだけだ。この一ヶ月、いろいろな話をして、いろいろと考えて、そして今、いろいろと結果をださなければならない状態にきている。それはよく判る。しかし僕は愛車を奪われ、ポケットの中の小銭は、明日にはすべて消えてしまう身の上だ。もう僕には打つ手はない。僕の未来は出口がない。せめて沈むのをこの身にとどめることが僕の最優先課題なのだ。その為には、僕は彼女から離れるしかない。そう思って不意に車を降りた。途端に彼女の車が渋滞にまぎれる。「消えろ。消えるべきなんだ」非常に残念なことだが、今の僕にはそんなことしか思いつかない。駅に向かい、ありったけの小銭でチケットを買う。もうここに戻ることなどできやしない。残金十円玉数枚を手にして実感する。人を巻き込むことが出来ない男の末路は、やはり黙って消えるべきなんだろうなぁ。線路を眺めてそう思う。
長い夜が来る。





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Last updated  2005/10/17 10:07:23 PM
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