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紅鶴の船ってえのは海賊船かあ お寺の本堂には、明日の舟祭りのために大勢の信者たちが集まり酒盛りが始まろうとしたところに、本堂の表に若さまの「頼もう」という大きな声がします。 その声に驚いて和尚、網元を始め信者達が顔を見合わせていると、若さまは遠慮なくどんどん入って来て 若さま「和尚、ご馳走にあやかりたい」 そう言って、若さまは和尚の前に座り込みます。 和尚 「ようこそようこそ、信者の衆にお引き合わせ申そう。皆の衆、このお武家 は江戸のお方でな・・」その後は、若さまが自分で自己紹介します。 若さま「数日前よりこの町にご厄介になっておる、江戸は柳橋米沢町、喜仙舟宿の 居候、人呼んで若さまってんだあ。よろしん頼むぜ」 と言うと、和尚のお膳から盃とお銚子を取り、 若さま「おう、さあさあ、さあ皆遠慮しないで、がぶがぶやってくれ。酒はいくら でもあるからなあ、えぇ」 信者達が呆気にとられていますと、和尚が「めでたい舟祭りの前祝いじゃ、どんどんやってくだされ」と言いますので、一同も落ち着き飲み始めます。 ぐっと一杯飲みほした若さまは和尚に切りだします。 若さま「和尚、そのめでてえ舟祭りの起りが知りたくてなあ、ちょっと庫裏へ行っ て縁起絵巻を借りて来たぜ」 和尚は黙って若さまを見つめます。 若さま「和尚、詳しく説明してくれよ」 と言い、絵巻をパッとひろげます。 一同も絵巻に見いります。若さまは広げた絵巻の中を見ると、帆先に紅鶴が描かれた船もありました。 若さま「こいつは驚いた、舟祭りてえのは海賊の祭りかい・・・おい、網元、そん な渋い顔をしてねえで教えろよ」 と、二人の顔を眺めながら食い下がります。 「はははっはは、・・なるほど、紅鶴の船ってえのは海賊船かあ。するてえと、死骸の傍の紅鶴は海賊の仕返えしかな、ええ、和尚」と若さまはおもしろそうに和尚と網元の様子を窺うのです。 本堂で一杯やり、絵巻物を見せ和尚と網元をたきつけた若さまが鼻歌を歌いながらいい気分で帰っていきます。突然、若さまめがけて一本の銛が飛んできます。ひらりと体を交わしますが、次から次へと銛がとんできますが、若さまの体のかわしが速いため失敗したとみるや、黒覆面黒装束の一味が現れます。 若さま「おいおい、冗談じゃねえぜ。おかの上に魚がいるかい」 一斉に斬りかかって来ます。若さま、最初は素手て立ち合い、次に近くにあった櫂で立ち合います。 暫くして櫂を捨てると刀を抜き、一文字崩しの構えをしますと、かなわぬと見たのか黒覆面黒装束の一味は引き上げてしまいます。 そこへ、小吉がやって来ます。逃げて行く一味を見て、「どうなさいました」という小吉に、着物のほこりを払いながら「心配するな」と言うと、小吉の方はどうだったと聞きますと 小吉 「御推察通り、浪人の死体が埋められていました」 若さま「そうかい。可哀想にな、お千代坊・・・俺の口から、どうしても言えなかったよ」 「星だと思っていた奴が殺される・・ますますわからない」と事件解決に悩む小吉を見て、若さまはニヤッとして、「これだよ」と言って、銛を見せます。 小吉「これは網元の・・」 若さま「ばかりじゃねえ。だいぶ舞台は大きいぜ」 若さまは、そういうと夜空を見上げ「明日の舟祭りが楽しみだ」 明るい笑みを見せる若さまです。 続きます。
若さま侍捕物帖・・・(6) 2024年09月21日
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