九条ネギ 細いが 数は立派なもの 東日本大震災694日後に
今年の九条ネギ細いが 数はすごい 良く茂っている二条の間に堆肥と草をどっさり入れて踏んでおくネギは堆肥が必要.肥料が多いほど太いネギになるつまり 今年のネギ 肥料が不足していたのかなどんどん 肥料をいれると太くなるらしいよーし もっと もっと肥料をいれてみよう東日本大震災 3月11日発生 2月3日は 既に694日後となった 阪神大震災は、1月17日で発生から18年 武田さんのブログ ----------------------------------------------自然に学ぶ人工材料 007 ― 人工材料の自己修復 作った材料はそのままか? ― さて、このHPの自然に学ぶ・伝統に学ぶ ―紫外線殺菌―で大腸菌の紫外線防御について勉強したところ、どうも「自己的に修復する」という一見して「生命的」と思われる現象が、実は単純な化学反応の組み合わせだということがわかった。今では、当たり前と思うが、当時は、それでもビックリしたものである。 つまり、生命活動がDNAの情報で行われるなら、こちら(人間)は頭脳でDNAを代替すればよい、という抽象概念に至ったのである。 ところが「人工的材料で自己修復をする」と言っても、どういうものを選択するかが問題である。身の回りには鉄鋼、銅線、ガラス、トイレの陶器まで様々な材料がある。「自己修復」と言っても最初は何を研究の対象とすれば良いのかわからなかった。 新しい研究というものは、こういう段階において大きな困難に遭遇する。一回、決めてしまえば装置も作るし、勉強もする。しかし、もし研究対象が間違っていれば1年や2年はすぐ空費してしまう。研究者にとって苦心惨憺して材料を選択して最初の発表をした時に、 「そんな材料は自己的に修復するのは当然じゃないか」と言われるのは大変辛いことである。 ともかく、生物から学んだこともあって、何とか生物に近いものを選ぼうと思い、紆余曲折を経た後、5大エンジニアリング樹脂の一つとして一般的にも販売されているポリフェニレンエーテルというものを使うことに決めた。 最初のテーマは「自己修復」ではなく「合成代謝材料の探索研究」という名称であった。 研究した者にとっては懐かしい写真が残っていた。生物の細胞が水溶液電解質であることから、それに近い条件を選択するために、溶液系で温度はできるだけ体温に近い条件で行いたいと考えた。後になると150℃や300℃などの条件下で行うことになるが、最初はとんでもないことで実験が開始されるものである。 当時の実験記録は次のように記載されている。 「・・・次に、1L(リットル)の反応器にロートを用いて、ビーカーAおよびビーカーBの溶液を投入し、反応器内で十分に混ぜ合わせた後、ビーカーCのモノマー溶液を投入し、O2ガスを重合溶液中に目視で常に気泡が発生する程度に供給した。・・・」 実験は最初、ポリフェニレンエーテルの原料となる2,6-ジメチルフェノールを購入して、高分子を合成した。効率だけを考えればこのような実験は不要かも知れないが、大学院で修士の学生が研究をするためには、まず最初に基礎的な実験から開始させる。そうしないとただ言われたことをするだけになり、学生が技術者として成長することにならないからである。 国立の研究機関や会社の研究とは違い、大学で学生が研究する場合には「研究のため」ではなく「学生の成長のため」に主目的があるので自ずからその研究スタイルも異なるものである。大学で多くの研究員を抱え、立派な研究成果を上げられている方もおられるが、私は「大学は教育機関。おこぼれで研究成果も生まれる」という考え方である。それは研究室の体制や装置、そして研究の方法に大きな差を生じる。 ともかく最初の実験は2,6ジメチルフェノールの単なる重合だから、それまでの論文を読めばすぐできる。案の定、ほとんど最初の実験から上手くいった。 重合はスムースに進み、最初のサンプリングでピークの分子量が3500程度のものが得られ、その後、徐々に分子量が増大していった。そして、分子量が6000程度に近づくとピークは二つの山に分かれ、そのうち分子量の小さい方が徐々に無くなりながら40000程度の分子量のものが生成することがわかる。 高分子科学で長く研究されているところであるが、重合中の分子量の増大、また最終的な分子量というのはその高分子の合成のしかたによって様々であり、そこにおもしろさがあり、また工夫ができる。溶媒を少し変えてトルエンとメタノールの割合を1:1にするだけで下の図のように変化する。 さて、生物中でもこのようにして重合したものがDNA、タンパク質などとして使われる。その詳細をここで示すことは寄り道が酷くなるので割愛するが、ともかく「重合してそのまま使う」というのが基本である。しかし、人間が産業で製造する高分子は重合後、すっかり綺麗にしてパウダーかペレットとして販売される。だから完全に生成されている。 そこでまず、「重合したものをそのまま置いておくとどうなるのか?」というのを調べた。もしこの文章が読まれることがあったら、「なんて、まどろっこしい事をしているのだろうか?」といぶかると思うが研究とはそういうものだと私は思っている。 上の図は263Kで重合後、二日間の間、単に保管していただけのものを青の線で示した。「ぬぬっ!」、学生と一緒に驚いたり、頷いたりしたものである。第一に酸素を供給していないのに、-10℃なのに分子量が増えている。第二にふた山だったものがひと山になっている?? 学生は喜び勇んで「先生っ!これ見てくださいっ!」とデータを持ってくる。先生は「どれどれ、ほー、すごいじゃないか!」と驚いてみせる。「驚く」のではなく「驚いてみせる」というところに教育がある。実はポリフェニレンエーテルの重合では酸素が関与する反応と酸素とは無関係に分子が反応する場合がある。先生はそれを知っているが、よく勉強する学生でも知らない。 でも一つ一つ実験しながらそれを解きほぐして行くのが学生の経験としては大切なので先生は驚いてみせるということである。時に学生に自分は知らないような素振りをして「先生も知らないことを俺は知っている」と思わせるのも一つの方法である。 いずれにしても、ここまでは順調に研究が進んできた。なぜ酸素が無くても分子量が変化するのかについても教え、キノン-ケタール反応という耳慣れない反応も教える。それではということで、今度は一度、重合したものをそのまま低温に保ったり、一度、高温にして高分子を分解させ、また中温に保つというようなさまざまな条件を選択してみる。 そうすると、一旦、重合が終わったものでも、暫く低温に置いておくと重合が進むこと、高温で分解(解重合)したものでもまた重合するというようなことが徐々に目で見るようにハッキリしてくる。 実に面白いものである。実験のおもしろさは「自然の秘密」について少しずつそのヴェールを取っていくところにある。それを面白いと思うのは私たちが子供のころ「なぜ?」と聞くのと同じだろう。研究の最初の段階というのは、後から考えると幼稚なことをしているのだが、「最適な条件はなにか?」などより私には性に合っている。 この実験で「人工的で生命のかけらもない材料が、重合した状態で高分子の鎖が切れたり、つながったりする」ということがわかった。「わかった」というと専門家の中には抵抗がある人もいる。ここで示した結果はHay, Whiteなど1950年から1960年代のアメリカで行われたことのいわば追試だからである。でも、この実験ズバリではない。論文にはなりにくいが「自己修復材料」という概念を作っていく上では必要な実験ではないかと思っている ふむふむ はた坊