長崎県五島市にお住まいの宿輪敏子さんが、昨日、
国が作成するカネミ油症についてのパンフレットに
油症被害の実態を正確に反映させるため、作成メンバーに
被害者を加えるようにという要望書を出されたとのこと。
カネミ油症被害者の苦悩は、国も油症治療研究班も
被害者がそれぞれ違う症状であることに向き合おうと
しないことから起きていると思いますので、
国がつくるパンフレットには、ぜひ、多くの
被害者の声を盛り込んでいただきたいですね。
油症パンフレット作成に関する要望書
厚生労働省医薬食品局食品安全部
企画情報課長 伊原和人様
カネミ油症五島市の会事務局長
宿輪敏子
2013年7月17日
井原課長、三者協議ではお疲れ様でした。
あの後、私も含め油症被害者の多くは、
数日間、体調不良を起こし、大変でした。
「油症患者は、半病人じゃもんなあ。」
私の父の口癖です。
こんな体で、真の救済を願って必死で
闘っていることをご理解ください。
会議の冒頭で、カネミ油症関東連絡会のM共同代表は
「これだけ多くの要望を今日中に協議し終えるはずがない。
そちらが説明したことで、私たちが承諾したと思わないで
欲しい。」 という趣旨の発言をしました。
貴省ももちろん承諾しました。
今回の三者協議では時間が足りず、何一つ結論が得られ
なかったので、全ての要望はそのまま存在しています。
この中で、油症の手引き(油症パンフレット)の作成に
関しましては、油症対策委員会の中で、古江班長が、
「医療機関向けの最新の情報を盛り込んだ
パンフレットを作成中である」 と言われて
いたので、取り急ぎ 再度 要望いたします。
この件について、カネミ油症被害者10団体は、
厚生労働省に次のように要望していました。
「医療関係者がカネミ油症の症状などを理解できるよう、
医療関係者向けの 『油症の手引き』 を作成すること。
そのために 油症治療研究斑内に特別チームをつくり、
被害者代表も加えて、よりよいものにすること。」
これに対して 貴省は、三者協議の中で、
「今年度の研究班で、医療従事者向けの啓発資料を作成
したり、相談員に寄せられるご質問などをまとめる予定と
聞いており、出来上がった資料については、医師会等の
関係団体や都道府県に情報提供する予定としております。」
と、油症研究班の計画を単に伝えるのみので、
これを回答としました。
つまり、厚生労働省は、
「特別チームを作り、被害者代表も加えてよりよいものに
して欲しい」という、油症患者の要望をいとも簡単に無視し、
要望実現のために何の努力もしてくださいませんでした。
このことは、「カネミ油症支援法(略称)」 の付帯決議の前文
「政府は、本法の施行及び今後の施策の実施に当たり、
カネミ油症患者の要望及び意見に配慮しつつ・・」
という条文に違反しています。 また、本法の基本理念
「カネミ油症患者に関する施策を推進するに当たっては、
カネミ油症患者及びその家族の人権が尊重され・・」
の条文にも反していると言わざるを得ません。
PCB及びダイオキシン類が、人体にどのような症状を
もたらすのか最もよく知っているのは、これを食べた
被害者自身です。 これらの内分泌撹乱作用や、酵素
誘導作用は、実に奇妙で 複雑な症状をもたらします。
検査結果には 反映されないことも多く、
通常の医師には理解されません。 また、
全国の被害者の症状を聞き取ってきたYSCの
健康実態調査は、重視されなければなりません。
従って、カネミ油症患者や、YSCの意見を聞くこと
なく、現場に 足を運ばない 油症研究班によって、
一方的に作られたパンフレットを 全国の医療機関に
配布することは、私たちの要望に著しく反します。
これを認めるわけには行きません。
このパンフレットは、全国に散在する油症被害者に
とって、今後、非常に重要な意味を持つものになります。
ですから慎重に作られなければならないのです。
どうぞ、早急に、患者の代表が、医療機関向けの
油症パンフレット作りに参加できるよう ご尽力
ください。 厚生労働省が、「カネミ油症施策法」
の趣旨をご理解くださり、患者の要望を無視する
ことなく、その実現に向けて、積極的に施策を
講じていただきますようお願い致します。
なお、進捗状況を今週中にメールにてお
知らせいただきますようお願い致します。
以上、宿輪さんが厚生労働省あてに出された文面です。
お送りいただいたものは、きちんとした文書形式でしたが
ここに掲載させていただくに当って、私の勝手な判断で
行代えなどをさせていただきましたこと、ご了承下さい。
【カネミ油症のこと】
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