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音楽雑記帳+ クラシック・ジャズ・吹奏楽

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bunakishike

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2024年11月08日
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カテゴリ:クラシック音楽

以前取り上げたことのある、ラトビアのアコーディオン奏者クセーニャ・シドロワ(1988-)の新譜が出ていることを知り、昨年発売された一枚とともに、eclassicalからダウンロードした。
昨年出たアルトゥルス・マスカツ(Arturs Maskats)の作品集も面白いが、今回は「Crossroads」というアルバムに触れてみたい。
最初はバッハの「ピアノ協奏曲第1番」。
筆者にとって殆ど馴染みのない音楽だが、シドロワによる編曲は全く違和感がない。
普通だと少し古めかしい感じのする曲だが、アコーディオンだとかえって新鮮に聞こえる。
また原曲だとソロが貧弱に聞こえる印象があるが、アコーディオンでは何故かそういう感じではない。
バックとともに、生気に富んだ音楽が展開されている。
次の6曲はウクライナのキエフ生まれのセルゲイ・アフノフ(Sergey Akhunov)(1967-)の作品。
ChatGTPによると、『伝統的なロシア音楽や民族音楽を現代的な視点で再解釈し、無調音楽や新しい音響技法を駆使して、自由なリズムや音色の探求を行った革新的な作曲家』とのことだ。
アコーディオンは現代音楽との親和性があり、アフノフの音楽でもそれが感じられる。
最初の『Sketch III』はアコーディオンの独奏曲。
バッハの『平均律クラヴィーア曲集』のアルペジオ奏法の前奏曲スタイルで作曲されたピアノのための作品で、シドロワがアコーディオン用に編曲したものだ。
『協奏曲シャコンヌ』は管弦楽との共演で、暗くひんやりとした感触の静かな作品だ。
アコーディオンはあくまで管弦楽に色を添える位置づけだろう。
メロディアスな一曲であり、アルバムの中でも特に印象的な作品だ。
Ⅰは暗い色調で静かに始まるが、後半の持続力のあるテュッティによる圧倒的なダイナミズムに度肝を抜かれる。
Ⅱはアコーディオンのモノローグで、ビブラフォンのサウンドが絶妙にマッチしている。
Ⅲでは、弦のさざ波のようなサウンドにアコーディオンが色を添え、印象的な楽曲となっている。
一見すると柔らかく優しいサウンドに感じられるが、その内に心をざわつかせるような要素が潜んでいる。
Ⅳは静けさの中に突如として凶暴な楽想が現れ、心穏やかに聴くことが難しい。
ここでもビブラフォンの響きが強く印象に残る。
アコーディオンのリズム部分にバッハの『シャコンヌBWV 1004』の引用も聞かれる。
Ⅴでは、弦の優しい旋律が流れる中、途中でアコーディオンのソロが挿入される。
時折聞こえる木魚やビブラフォンの音も効果的だ。
トライアングルのような、チーンという音も聞こえてくる。

続いてはバッハの『オルゲルビュヒライン』の中の『主イエス・キリストよ, われ汝に呼ばわる』BWV639。
シドロワの子供のころから弾いていた曲で、オルガンでは平板な印象になりがちだが、アコーディオンでは表情が豊かになり、より楽しめる。
ブルガリア生まれのドブリンカ・タバコヴァ(Dobrinka Tabakova)(1981-)のThe Questから第2曲『Horizons』(2023)。
タバコヴァは交響曲から合唱曲まで数多くの作品を作曲しており、録音も多数ある。
タバコヴァはシドロワがロンドン時代に親しくなったそうで、『Horizons』はピアノ協奏曲(2010)の第二楽章を編曲したものだそうだ。
宇宙の広がりを連想させるスケールの大きな楽曲だ。
Gabriela Monteroはヴェネズエラのピアニスト兼作曲家ガブリエラ・モンテロのピアノの即興演奏を基にした曲。
編曲に際してカデンツアが改訂されたという。
原曲は後半ジャズ風になってしまっているが、アコーディオン版ではバッハ的な雰囲気を残しつつも、端正な表情を崩さず、柔らかで安らぎに満ちた音楽に仕上がっており、感動的だ。
作曲者自身のピアノによる演奏もyoutubeにアップされている。
原曲のほうが、よりバッハのイメージに近い感じだ。
シドロワの故郷ラトヴィアの交響楽団の音楽は、メリハリの効いた積極的なアプローチで、透明で清々しいサウンドとともに、とても心地よいものであった。
曲にまつわるエピソードを知ると、シドロワの探求心と積極的な行動が、この素晴らしいアルバムを生み出したことがよくわかる。
アコーディオンに興味のある方には、ぜひ聞いていただきたい。

Gabriela Montero:Beyond Bach


原曲


Ksenija Sidorova:Crossroads(Alpha ALPHA1090)24bit96kHz Flac

1.Johann Sebastian Bach:Concerto in D Minor, BWV 1052 (Transcr. for Accordion and Orchestra by Ksenija Sidorova)
4.Sergey Akhunov:Sketch III
5.Sergey Akhunov:Concerto Chaconne
10.Johann Sebastian Bach:Ich Ruf Zu Dir, Herr Jesu Christ, BWV 639 (Transcr. for Accordion by Ksenija Sidorova)
11.Dobrinka Tabakova:The Quest: II. Horizons
12.Gabriela Montero:Beyond Bach (Arr. for Accordion by George Morton and Ksenija Sidorova)

Ksenija Sidorova (accordion)
Latvian National Symphony Orchestra
Andris Poga

Recorded in September 2023 at Riga Sound Recording Studio, Latvia.





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Last updated  2024年11月08日 16時05分36秒
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