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テーマ:闘病日記(4014)
カテゴリ:健康
三井記念病院とは20年もの付き合いなので、友人のような存在でもあった。わたしのカルテは百科事典のように分厚く年月の長さを物語っているが、これはわたしの寿命が積み上げられて来た証ともいえた。 前回の時は10階C病棟だったので、今回も同じだろうと思っていたところ、職員に案内されたのは8階C棟。それも「脳外科」「耳鼻科」「眼科」である。 疑問を抱いたわたしはついナースセンターに問いかけてみた。 「わたしは循環器なのですがいいんですか?」「はい、大丈夫ですよ。」歯切れの良い返事が返って来た。 8人部屋のC858。この病棟には内科、循環器内科、呼吸器などの比較的短期入院の患者が多いことに気が付いた。 眼の手術では3泊4日で退院出来るらしい。三井記念病院は眼科、脳外科とも非常に優秀な病院でもあるため、他の病院から転送される患者が多い。 懐かしさも込めて真っさらなシーツに手を伸ばしてみた。病院特有の緊張感が看護師の笑顔でプツンと切れた。患者それぞれに担当の看護師が付くようである。 20年も経つと細かなところで大きく医療も変わっていることに気付かされた。やはり患者重視なんだと思った。しかし患者は子どもではない。病人ではあるが真摯な態度で病気と向き合い、看護師やドクターの手を借りる、二人三脚であることを忘れてはいけないと思った。 先ず、循環器外科の先生方数人がわたしのベッドを取り囲み、問診や触診を行う。この時点で循環器外科の主治医が決まった。わたしより遙かに若い青年である。 左脚の付け根(動脈)から大量の血液を抜き取った。そして「入院診療計画書」には手術を前提とした検査を進めて行くことが記されていた。病名は「三尖弁逆流症」。 そして様々な検査の日々が続くことになる。先ずは心電図、レントゲン、検便。三日目からは循環器内科がバトンタッチし、これも若い青年医師が主治医となった。 心臓超音波、腹部超音波、そして歯科。ここで思わぬ落とし穴が待っていた。虫歯或いは、歯に何らかの病巣がある場合、それを治療してからでないと手術は出来ないという。なんとかなり昔に治療した歯(犬歯)に抜かなくてはならないほどの病巣があったのだ。この歯を治療したのは4年ほど前。 治療は完璧だった筈が、実はそうでなかったようである。 19歳の時に受けた抜歯の恐怖が蘇る。カテーテルも嫌だが抜歯も同じ。しっかりした歯なので抜くには惜しいが心臓のためには仕方ない。 2月6日に「経食道心臓超音波」という聞きなれない検査を受けたのだが、これは「胃カメラ」と同じで直径1cmほどの先端にカメラが付いた管を口から飲み込み、更に鮮明に心臓の状態を調べるもの。 喉を麻酔するのだが、これがまた苦しい...。40分ほどで検査終了。 循環器の技師が見た感じでは思ったほど弁は痛んでいないようであった。 そして循環器内科チームの出した結果、「手術をする必要はない」との意見だった。これには驚きを隠せなかった。わたしはこの半年間、手術の事だけを考え、手術なしで元気な身体を取り戻すことは無いだろうと思っていたからだ。 そして次に神経内科の医師と臨床心理士の問診が2回ほどあった。これは「うつ病」に関わることである。ここで事態が急変した訳である。 つまり、抗鬱剤の服用がもたらす心臓への影響。副作用の話が大きなテーマとなった。心臓の検査を一通り終えて出た検査結果は腹に水が溜まっている様子もなく、肝臓が腫れている訳でもない。うっ血性心不全があり、正常な心臓の40%程度の力しかなく、三尖弁の逆流もかなり高度に達しているにも関わらず、それらの身体的症状が確認出来ないという。 すると残ったものは「うつ病」。これについて、循環器の医師も心臓とうつ病の関係についてまったく知らないことで、今回のわたしの入院で初めて知ることになったわけである。これについてはいまだ正式なレポートも出されていないが、わたしは自分のHPでうつ病と心臓病の関係について述べている。 やはり薬の副作用とは実に恐いもので、調査して初めて明らかにになる事例があるようだ。 手術については、高リスクを敢えて冒してまで実行しても、それに見合うメリットは何も得られないということで、今回は手術回避と言うことになった。 思いも寄らぬ結果が出て嬉しい反面、この三尖弁は一体いつまで持つのだろうという一抹の不安もあったが、主治医の言葉に同意した。 約20日間のわたしの入院物語はハッピーエンドで幕を閉じたが、油断は禁物。皆さん、虫歯や歯周病には充分気をつけた方がよいですよ。 最後に、お世話になった8Cの看護師さん、職員のみなさん、医師の方々にお礼を申し上げて今回の報告を終わらせて頂きます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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