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高級料亭ともなれば、料理以外に器にも気を使うもの。食材と器が互いに主張し合いながらも絶妙なバランスで相手を活かす。
食べる者は一瞬、箸を付けるのを躊躇うほどにその圧倒的な存在感に見とれる。高級料理ならではの食の美学がそこにあるのだ。 しかし、それを愚弄するかのように卑劣な問題が起き上がっていた。「もったいない」という言葉が一時何処かの国のご婦人によって流行っていた。 そんなことすら忘れかけていた時、思わぬところからこの言葉が聞こえてきたのである。 船場吉兆、言わずと知れた高級料亭。昨年は食の偽装で揺れた一年であったが、この料亭も同じ罪を犯し、散々叩かれており、大勢のマスコミ陣が集まる中で社長は深々と頭を下げ謝罪していた。 それが偽装よりもっとたちの悪い食材の使い回しをしていたとは驚きである。 それも20年も前から習慣となっていたようで、料理そのものを馬鹿にしているとしか思えない行動である。 客の食べ残した物を棄てるにはもったいないので、使えるところは次の料理に利用する。これは信じ難いことである。 一般家庭であれば、夕食に残ったおかずを次の日に回したり、お弁当の具として使うことはあるが、客を相手にする料亭でそんなことが許される筈もない。 食に対するモラルが大きく欠如してしまった船場吉兆に一体何が起こったのか。何故それほど長い期間に亘って行われて来たのか、これも利益のみを追求した結果なのだろうか。 船場吉兆で料理を食べて来たこれまでの多くの人たちは、前の客が残した物を食べてきたことになる。 怒りとやるせなさが胃袋の奥から湧き上がってくるのも当然だろう。 こんな不祥事が続くと迷惑を蒙るのは同業者である。高級料亭でなくとも、飲食業にとってはいい迷惑である。消費者にとって見ればやはり疑いの目で見てしまうのはやむを得ないこと。 お客様をもてなす意味がまったく理解出来ていない、基本的なことからやり直さないともう終わりである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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