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テーマ:ニュース(100218)
カテゴリ:ニュース
スーパーなどの店頭に並ぶ食料品や飲食店から出される料理は、安全という常識の下でわたしたちの胃袋を満たしている。 その常識が覆された時、そこから生まれる不安はウイルスの如くに増殖を続け、消費者に精神的ダメージを植え付けて行く。 ユッケ問題で大きく揺れた食肉業界に降り掛かった次なる使者は、放射性セシウムに汚染された黒毛和牛であった。 暫定規制値(1キロ当たり500ベクレル)を遥かに上回る1998ベクレルの放射性セシウムが肉を通り越し骨にまで及ぶという、あってはならない汚染牛誕生の背景には、安全基準に警笛を鳴らしながらも徹底管理を怠る人間の隙間に生じた怠慢ではないだろうか。 汚染牛の流通が確認されているのは、北海道、東京、神奈川、千葉、静岡、愛知、大阪、徳島と広範囲に及んでおり、既に食肉用として店頭に並び焼き肉店などでは、料理として消費者の口に入ってしまったものもある。 そして聞こえて来るのが原発事故発生直後から連呼された「直ちに影響はない…」。専門家も口を揃えて同じように「大量に食べねば問題ない」などとのたまうが今ひとつ説得力に欠け不安を払拭するまでには至っていない。 確かに数字を並べて説明すれば体内に取り込まれた放射性物質の量は微々たるものである。しかし、自然界に存在しない物質が自分の体内にあると分れば気分のよい筈はなく、ストレスの一因として健康を間接的に害する事になる。 人間の身体は個々によって異なり、免疫力の強弱やストレス耐性も様々であるし、不安ほど人の心を蝕むものはない。 牛に与えた餌の稲わらは、原発事故後も屋外に放置された状態で1キロ当たり7万5000ベクレルという途方もない放射性セシウムに汚染されていたという。 野晒しで汚染された餌を何のためらいもなく与えてしまったという、ずさんな飼料の管理も大きな問題であり、震災緊急時で配合飼料が入手困難だったとはいえ、牛を育てて売る酪農家のプロがやることではない。 結果が出てしまってから慌てて全頭検査に踏み切るというのも、過去の事例が教訓として全く活かされていない相変わらずの未熟な対応であり、日本人の懲りない性分が露わになっている。 かつて日本はBSE問題で痛い目に会い、米国に対しては毅然とした態度で臨み、妥協を許さず徹底した管理の下で輸入を再開した経緯もあるだから、『牛に対して琴を弾ず』とならぬよう心掛けて頂きたいものである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.07.14 15:52:28
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