新月の友情
今回の出張は、 正直ちょっとだけしんどかったの。 「あなたが、Tiredっていうなんて、今まで一度もなったのに・・・」 セールスアシスタントのダニエルでさえ、オフィスで私の泣きそうな顔を見て、びっくりしていた。 出国前から気がかりなことがあったりして、 気持ち的にしんどかったのと現地での交渉が難航して 今までにないプレッシャーを感じていた。 それプラス、会社をやっていると、とっても孤独を感じることがあって、 そんな気持ちを今回の出張でしみじみかみしめてたしその心をビジネスパートナーが丸ごと受け止めてくれていた。 新月の夜、奇跡的に契約にまつわることが無事におわり、 レストランで顧客とフランスのエージェント先の会社の社長と、その夫人とみんなで ワインを飲んで、わたしも、疲れからか、 柄にもなく、軽く酔っ払ってしまった。 帰り、顧客をホテルに送り、それから私たちは家路に車で向かった。 ビジネスパートナーのウィムとシャルロットが言葉を少し交わした後、 車から流れるCDの音を大きくした。 シャルロットが言った、「私この歌好きなんだ」 キャロルキングの「You've got a friend」が流れていた。 あ、わたしも知ってる! そして、3人で大合唱。車は「走るカラオケボックス」となった。 You just call out my name And you know where I am I'll come runnning to see you again Winter, spring, summer, or fall All you have to do is call And I'll be there You've got a friend..... あなたが私の名を呼ぶだけで私はどこいにいようとも あなたに会いに飛んでいく 冬でも、春でも、夏でも、秋でもかまわないあなたが呼んでさえくれたならわたしはすぐに飛んでいく あなたには居る、友達が by C.King 来年、私はフランス出張はしない、とウィムに言ってあった。 予算の関係と、日本でもっとやりたいことがあるからだ。 会社を頑丈にしたい。そのためのスタッフを育てたい。 ウィムがシャルロットと目を合わせて、それから、私の座っている後部座席へ視線を流して、ほろ酔いで、眠ってしまいそうなわたしを起こすように、 私の名前を呼んだ。 「2010年は、僕たちが日本に行くよ」 外には、決して見えることのない、新月が 私たちを照らしていた。