政府の国民への欺瞞 大前研一さんの視点より
年金問題が発覚してから、安倍政権の慌てぶりは見事ですね。発覚のまえから、安倍政権(もちろん以前の自公連立政権)は事実を知っていたのも関らず、無能にも放置しておいたつけが回ってきたみたいです。安倍さんの言葉は、空虚で美辞麗句であるのも関らず、まったく信用できませんね。イライラします。今回の処理についても馬鹿まるだしで、選挙のためだけの発表ばかりです。以下記事転載【大前研一ニュースの視点】■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■ 年金問題 問題点の調査へ第三者機関を設置 5,000万件のデータ照合は、NTTデータへ 市場化テスト 官の入札参加ゼロの実態 05年以降、入札6件は全て民間企業■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■●第三者機関もNTTデータも、政府の目くらましに過ぎない。 社会保険庁が管理する公的年金保険料を納めた記録 約5,000万件の持ち主が分からなくなっている問題で、 厚生労働省は歴代の社会保険庁長官に責任があるかを 調査する第三者機関を設ける方針を発表しました。 大学教授など外部の有識者に加わってもらい、記録管理体制の どこに問題があったのかを調べるとのことです。 この対応への評価として、第三者機関に委託するなど しっかりと対応していると考えるのは間違いだと思います。 なぜなら、今後、実効性の無い改善策や、データ移行の遅れ などが発生した場合には、その責任をそれこそ「第三者」に 押し付け、国民の怒りの矛先を逸らそうというのが 本当の狙いだと私は思うからです。 本質的には年金問題の対策のためではなく、単なる選挙対策 としての対応に過ぎないのではないかと私は見ています。 対象者の分からない約5,000万件の年金記録を照合する 新しいプログラムの開発をNTTデータと日立製作所に 委託することを決めたとのことですが、 これも呆れるほど同じ手法で私たちの目を欺こうとして いるのが分かります。 実際問題として、5,000万件の「手書きデータ」を1年以内に 全て照合させるのは至難の業だと思います。 国民総背番号制やコンピュータ化が実現されていれば 話は別ですが、そうでない現状からすると、 国民全員で取り組まない限り、不可能な数字でしょう。 しかし、万一、そうなった場合であっても、 責任は「NTTデータ」へ転嫁されていて、国民の怒りは NTTデータへ向かうようになっているというわけです。●政府による「目くらまし」は、あらゆる政策に見て取れる。 「見せかけ」だけの対応で、国民の目を欺くようなやり方は、 政府の得意な典型パターンなのです。 例えば、年金問題だけではなく、次のような対応にも 現れています。 公共サービスの担い手を官民が競う市場化テストで、 官が入札に参加しない状態が続いていて、2005年度の 開始以降、入札を実施した6件はいずれも民間企業だけの 参加にとどまっているとのこと。 官が「民間に任せてもよい」と判断した小粒な事業だけが テストの対象になっているためだと言いますが、 私に言わせれば、そもそも本当の意味で「官」がやるべき 業務というのは殆どありません。 「民にできることは民に譲る」という当初の方針に従えば、 かなりの部分の業務を民に移管することになったはずですが、 実際に市場化テストの対象となっている業務を見てみると、 呆れてしまいます。 ※「市場化テストの主な対象」チャートを見る → http://vil.forcast.jp/c/ag37abqEvUyybWab 例えば、「道路や下水道の管理」や「国立公園の管理」と いうものがあります。 これらは、道路や下水道、国立公園の企画や設計といった 業務ではなく、おそらく「掃除」業務のことだと思います。 要するに、掃除業務という末端部分だけを民に移管したことを 「見せかけ」として発表し、企画や設計等の業務そのものは 天下り先として官に残してあるという構図なのです。 政府の発表の表面的な部分だけを見ていると、 いつの間にか政府・役人の仕掛けに騙されてしまいます。 大切なのは、手法に目を向けるのではなく、その目的を きちんと見極めることでしょう。 目的に目を向ければ、政府の真の意図が読めます。 日本の政府・役人の体質には呆れるばかりですが、私たちは そのまやかしを見抜くスキルを身につけることが 重要だと私は思います。 以上