読書/『文化の脱走兵』。
友人と本の話題をやり取りしていた時に「もう読んだ?」と言われたのが『文化の脱走兵 』。友人はこの著者に今はまっているそうで。私ははまるほどではないけど、やはり『夕暮れに夜明けの歌を 文学を探しにロシアに行く 』はたまたまウクライナが襲撃される前後に読み、ウクライナとロシアの関係性がようやく少し分かり、何よりもロシア文学を学ぶために一足飛びにロシアの大学に留学してしまった著者の動きの速さに感銘を受けた人なので、その後も出会いがあれば彼女の著書を読んでおりました。が、今回のこの作品はまだ未読でしたので、そのように友人から後押しがあると読まねばと思う訳です。こちらは、2022年から24年にかけて書かれたエッセイです。もう、そうなるとウクライナとロシアのことも著者は書かざるを得ない状況。でも、直接的に自分はどうなのかということよりも、ロシアの文学を出してきて、自分の思いを語っていました。ロシアに生活の拠点が一時的にでもあった著者ですから、その空気感と今映像で流されている現実、そして、たくさんいらっしゃるであろう双方の国の友人から直接的な言葉もあるでしょうが、前面に出ているのは文学の話です。以前もそうでしたが、ロシア文学ってほぼ未読なので、彼女が例に出して言わんとすることがどこまで自分の中で租借できているのか、正直不安ではあります。しかし、それでも、それを適切な日本語に変換して読者へ伝えようという気持ちが伝わります。そのような中で源氏物語とゲームの世界の話題はさすがに私でも言わんとすることが十分すぎる程伝わりました。とりわけゲームの場合、彼女が利用しているものがどのような世界であるのかということも知り、完全に仮想で身元が割れないオンラインの世界があることも理解しました。世界って狭いと思っていたのですが、このオンラインゲームから感じるのは、やっぱり広いんだーということ。ゲームの世界に凝縮されてみんなが存在しているのですが、時差の話題1つをとっても、それは果てしなく広く感じるもので、その広さを踏み台にして繋がる現代人の強さというのも感じ取ることができました。もう少しロシア文学について造詣が深くなれば、もっとこのエッセイが楽しめるのかもと思いながら、最終ページまで一気読みでした。にほんブログ村