読書/『鳥海山の空の上から』。
「鳥海山」という言葉のみに惹かれて連れて帰りました『鳥海山の空の上から』。小学5年の翔太は突如夏休みに秋田県にある祖父の家にひとりで行くことになりました。祖父の家とは言ってもすでに祖父は他界しており、そこには祖父の姉である波江さんがひとりで住んでいます。ひとりで寝台列車に乗り、秋田県内で1度乗り換えをするその場所にいたのは、ハトコにあたるユリアでした。ユリアは普段はアメリカに住んでおり、夏休みを利用して自身の祖父の家に遊びにきていたのです。波江さんとユリアと過ごす翔太の秋田での生活が大きな事件があるわけでもなくたんたんと描かれています。その中で波江さんの子ども達に関わる姿はとてもシンプルで、でもまなざしは暖かくてただただほんわかした作品ではあるのですが、そこに鳥海山があるということと、波江さんが家庭を持たずにひとりで住んでいるというその設定が大きな伏線になっていることが後半分かってきます。だからなのでしょうか、結末的にはすこしほろっとくる内容のはずなのですが、そのような気持ちを1つももたせることなくほんわかと暖かい空気が最後まで余韻を残します。個人的にはもっとがっつりと鳥海山のことが描かれているかと期待したのですが(←ただたんに私がおかしい)、全く予想とは異なる内容でした。それでも、鳥海山の魅力が伝わるように描写されていて、いつかは登拝したいなーと思わせてくれるには十分の作品でした。にほんブログ村