カテゴリ:もう一度観たい・読みたい
宮部さんの時代物を読んでいるとほっとします。 人の心の暗部を描いた怖ろしいお話、優しさとせつなさが入り混じったお話など、 「ほっとする」とはおかしな表現とも思えるのですが、不思議と心が安らぎます。 ゆったりとした語りの口調が、普段のあくせくした生活をしばし遠ざけてくれるからでしょうか。 収録されているお話中、一番印象深いのはやはり表題作の「暗獣」です。 人恋しいけれど臆病…というのは…ね。 この不可思議な、可愛らしい生き物は廃屋に住まうだけでなく、 人の心の中にも住んでいるものじゃないかと…思えてきました。 読んでいて一番ずっしりきたのは「藪から千本」。 柊にも双子の娘がいるだけに、話の本筋から離れて色々考えこんじゃいました。 子供二人を“平等”に育てるってすんごい難しいことです。 双子は生まれた日が同じ、顔かたちも似てる。だけど全く別の性格をもった人間なのです。 片方は泣き虫、片方は自由奔放…かと思うと次の日にはそれが入れ替わる。 同じように扱っているつもりでも、子供の方はちょっとの扱いの違いに敏感で、その違いを責めてくる。 年の差があればこんなに“平等”“平等”とあくせくしなくてすむのかなーと思ったことも。 散歩や買い物に出かけたとき、物珍しさから声をかけられることも多々。 そこで必ずといっていいほど聞かれる質問が「どっちがお姉ちゃん?」 普段「二人はおんなじ時に生まれてきたんだよ。平等なんだよ。」と言い聞かせているだけに 子供には聞かれたくない質問で…難儀に思ってました。 「どっちもお姉ちゃんで、どっちも妹。」 わずかな時間差をどーしてそうも聞きたがるのか不思議に思いました。 双子の二人をみて、平然と「気持ち悪い」という子供、大人にも出会いました。 悪意なく?そういうことをへらっと言ってくる神経を疑いますが 子供の発言の裏にはその親が普段テレビや何かでそういう感想を漏らしているのだろうなあ…と思います。 双子という存在を忌み嫌い、片方が里子に出され別々に育てられた…という 親戚のお話を聞かされたこともあります。 江戸時代じゃありません、戦後のお話。 田舎ではそういう風習がちょっと前にも生きていたんだ… 我が子たちは現代に生まれてこれて良かったね…とその話を聞かされた時は思いました。 同じように、同じように…そう強く思い込むことは妄執に近いかもしれません。 自分自身経験してきたことだけにぎくりとしました。 三島屋さんの百物語集めはまだまだ続く様子です。 今度はどんなお話が聴けるのか、続編を楽しみに待ちたいと思います~。 柊の読書メーターは→こちら お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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