養護学校支援部だより 【お父さんの作文~お兄ちゃんの卒業に向けて】
~『二人の天使Kun!出会えて本当にありがとう!!』~笠島進一 人にはそれぞれ、心の中に「幸福という名の額縁」を持っています。 私にも以前「幸福という名の額縁」がありました。しかし今では、それがどんな額縁だったのか思い出せません。それでもじっくり思い出してみると、「愛する人と結婚し子供が生まれ、贅沢はできないまでも質素で明るい元気な家庭を作りたい」という額縁だったような気がします。 長男がうまれ、その額縁は崩れそうになりました。泣きそうになりました。そして、ダウン症の次男が生まれ、もっともっと崩れそうになりました。誰かが側で支えてくれないと今にも倒れそうでした。それでもなんとかその額縁を維持するために私は必死でした。一生懸命でした。 でも、不安で不安でどうしようもありませんでした。一体、この子たちはどうなるんだろう・・?一体、私の額縁はどうなっていくんだろう・・?そして、私はどうしたらよいのだろう・・?答えが見えず、あせりました。もがきました。大声で泣き叫びました!「だれか私を助けてください!誰か私に真実を教えて下さい!!」と。 答えのわからぬまま、私の心はもう今日でおしまいだ!明日が限界だ!目一杯の心で、時間が過ぎていく中で、ふと気づきました。自分の理想とする額縁があるから、自分が苦しむのでは・・?誰も私を苦しめてはいない。まして子ども達のせいではない。額縁をしっかりと握っている自分がわるいのでは・・・? 額縁はいらない。嘆き悲しむ前に額縁を壊そう!そう、自らの手で! 知りませんでした。分かりませんでした。私の目の前にはすでに素晴らしい世界が広がっていたことを。気づかなかったのは私だけでした。単なる愚か者は私だけでした。 長男の優しさは私にはなかったものです。次男の身体全体から発する明るさは私にはなかったものです。私の人として足りないものに、「障害を嘆き悲しむものではなく、そこから何かを学び取りなさい!」と二人の子ども達は神様から遣わされた天使だったのです。納得いたしました。心の底まで納得いたしました。 長男よ!私はあなたから「人を労う本当の優しさが、心をどれだけ豊かにしてくれるか」を学びました。 次男よ!私はあなたから「人を生かす本当の明るさが、どれだけ勇気を与えてくれるか」を学びました。 これからも至らぬ父ではありますが、どうか宜しくお願いいたします。 二人の天使に出会えて本当にありがとう!! 平成19年3月13日卒業式