傷だらけの人生
古い奴だとお思いでしょうが、古い奴こそ新しいものを欲しがるもんでございます。どこに新しいものがございましょう。生れた土地は荒れ放題、今の世の中、右も左も真っ暗闇じゃござんせんか。何から何まで 真っ暗闇よ筋の通らぬ ことばかり右を向いても 左を見ても莫迦(ばか)と阿呆(あほう)の 絡み合いどこに男の 夢がある好いた惚れたと、けだものごっこが罷(まか)り通る世の中でございます。好いた惚れたは、もともと「こころ」が決めるもの……こんなことを申し上げる私もやっぱり古い人間でござんしょうかねえ。一つの心に 重なる心それが恋なら それもよししょせんこの世は 男と女意地に裂かれる 恋もあり夢に消される 意地もあるなんだかんだとお説教じみたことを申して参りましたが、そういう私も日陰育ちのひねくれ者、お天道様に背中を向けて歩く、馬鹿な人間でございます。まっぴらご免と 大手を振って歩きたいけど 歩けないいやだいやです お天道様よ日陰育ちの 泣きどころ明るすぎます おいらには「傷だらけの人生」作詞 藤田まさと作曲 吉田 正歌 鶴田浩二 どんなに傷ついたっていい。傷ついてわかる、傷の痛み。傷つけられてわかる、人を傷つけてはいけないということを。倒れてもいい。また起き上がる強さを身につけるため。倒れた人に手を差しのべるやさしさを知るため。どんな人生にも意味はある。それが、後から付け足されたものであろうと。意味のない人生などない。命ある限り。人は生きる。