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カテゴリ:ラグビー
土曜日、ヒデキ(小3)は初めてラグビーの試合に行きました。
私は午前中の仕事を終え、急いで高速道路を使って厚木の会場へ…。 まだルールもよくわからないし、ヘッドギアも持っていないヒデキが試合に出るかどうか、わからなかったのですが、 「とりあえず見学するだけでもいいじゃない? 見ているだけでもためになるから」 と、送り出しました。 それでも、人数も多くないし、もしかして午後の試合には出ているかもしれない…と、大急ぎで駆けつけたのです 交流試合の会場は、河川敷の広場。 あっちでも、こっちでも試合が行われています。 (ヒデキは、どこ?) 必死で探す私の耳に、突然、 「ヒデキーーーー!」 という声が飛び込んできました。 慌てて振り返ると… (いた!!!) ヒデキが、試合に出ていました。 「あっ、ひなたさん。 これね、実は4年生の試合なのよ。 今日は4年生の欠席が多くて、3年生が5人も中に入ってるの」 仲間のY君のお母さんが教えてくれます。 (え~っ!?7人制の試合で、3年生が5人も?) 「でも、ヒデキはまだルールがわからない、って言ってたけど…」 「ううん。ヒデキ、頑張ってるよ~ タックル、すごいんだから~!」 「そ、そうなの? …で? 試合はどんな感じ?」 「ボロ負け」 (ガクッ) 周りでは、数人のお父さんやお母さんたちが熱心に応援しています。 「ヒデキ!お母さん来たよー!頑張れ~~♪」 「ヒデキ、声出せーーー!」 「ヒデキ、いけーーーー!」 「そうだ、ヒデキーーーー!」 「ヒデキ、どすこい!どすこいっ!」 (あはは♪それ、面白すぎるぅ~~) 「ヒデキーーーー!」 「ヒデキーーーー!」 もちろん他の子たちの名前も聞こえてきますが、ヒデキの名前がとにかく連発されていて、 まるでヒデキの親だけいっぱいいるみたいです。 (あれ?どうしてヒデキばっかり???) 初出場のヒデキを、保護者のみんなも応援してくれていると思うと、嬉しくて胸がいっぱいになります。 そのとき、選手交替。 「ヒデキ、交替だぞ~」 というコーチの声を聞き、誰かのヘッドギアをつけたヒデキが出てきます。 と、みるみるうちにヒデキの両目に涙が溢れ、ポロポロこぼれ始めました。 泥んこの顔にくっきりと涙のあとが残るほど、あとからあとから流れ落ちる涙を、泥んこの両手で拭うヒデキ。 (どうしたの? どこか痛いの?) 慌てる私のそばに駆け寄ってきた一人のお母さんが、 「ヒデキ、悔しいんだよね。 悔しくて泣いてるんだよね」 黙って頷くヒデキ。 それは、私が見た、ヒデキの3回目の悔し涙でした。 「泣くほど悔しがるなんて、いい根性だよ」 「そうそう、大事なことだ。 いい涙だね」 いろんなお母さんたちに声をかけてもらいながらも泣き続けるヒデキ。思わず熱いものがこみあげてくる私。 子どものまっすぐな気持ちは、大人たちの心を揺さぶります。 あとでヒデキに聞いてみたのですが、ヒデキはたとえ相手が4年生(上級生)でも、「そんなこと、関係ねぇ~しな」なんだそうです。 試合をする以上、「勝つ」ことしか考えていなかったので、負けたことが悔しくて仕方なかったのだ、とか。とにかく、負けず嫌いです(笑) 続いてやった3年生の試合では、21-20で何とか勝つことができました。 ヒデキは、どう動いて良いかわからず、ボールを持つとすぐにパスしてしまっていましたが、タックルだけはものすごい勢いでした。 (自分の大きな身体を活かせるのは、タックルなんだ!) と気づいたのでしょう。 記念すべき初勝利を得たヒデキは、まっ先に私のもとへ駆け寄り、 「オレ、トライはできなかったけど、タックル頑張ったよ」 と、誇らしげに笑います。 「うん。おめでとう! よく頑張ってたね。かっこよかったよ」 帰り際、一人のお父さんが、 「ヒデキ、今日はヒデキに感動したよ」 と、言ってくれました。 (ん?感動?あの涙のことかな?) 「ヒデキ、あのお父さん、感動したなんて… どうして感動したんだろうね?」 「ああ、もしかして、あれかも」 「あれ?」 「うん。オレ、ママが来る前の試合で、ジャンピングしたんだ」 「ジャンピングって… まさかヒデキ、飛びついてタックルしたの?」 「そう! どんなに走っても追いつかなくて、 でもどうしても止めたかったから、飛びついて倒した」 「うそっ!? そ、そんなこと、していいの?」 「うん。だって、他の学年の試合でやってる子がいたからコーチに聞いたら”いいんだよ”って言ってたもん」 「そうなんだ~。 相手の子、怪我しなかった?」 「うん。でも”イッテーーな”って顔で睨んできたから、 ”こっちだって必死なんだから、仕方ないんだよ”って顔しておいた」 「あはは♪ そりゃ、みんなビックリしただろうねぇ~」 (まさか、こんなに太ってる子が”飛ぶ”なんて、誰も思わないよね?) 「うん。”ナイス ファイト!”とか”ヒデキ、感激!”とか言われた」 (ははは♪”ヒデキ、感激”は絶対にオヤジでしょ?笑) 「ママ、オレさぁ~、ラグビーのこと、ちょっとわかったよ」 「へぇ~、 どんなことがわかったの?」 「サッカーもそうなんだけど、サッカーよりもっと、 ”みんなで力を合わせて頑張る” って感じなんだよな~」 「すごいね そんな気持ちになったんだ」 「うん。みんなさ、必死で走っても途中でタックルされて、つぶされるじゃん。 そうしたらかわいそうだし、悔しいから、よしっ、今度はオレが頑張るぞ!っていう気持ちになるんだよ」 「うんうん♪」 「それからね、もうひとつわかったことがあるよ。 あのね、脳ミソって揺れるんだね~」 「えっ!?なにそれ?」 「後ろからタックルしたときに、相手が後ろに倒れてきて、2人一緒に倒れたんだよ。 そのときにね、オレの頭が地面にバーン!ってぶつかって、脳ミソがグラッて揺れたよ」 「ちょ、ちょっと、大丈夫なの?」 「うん。ヘッドギアつけてたし、平気だよ」 「ラグビー、怖くないの?」 「ぜ~んぜん だって、タックルって、ジェットコースターみたいで面白いんだもん」 「ジェットコースター???」 「そう。 ジェットコースターって、止まる瞬間にガンッ!ってなるでしょ? あれとおんなじで、超おもしれぇ~し!」 そういえば、鼻血を出している子も何人かいました。 学生時代にラグビーをやっていた父も、 「鎖骨なんかはすぐ折れるけど、鼻の骨が折れたのは痛かったなぁ…」 なんて言っていたっけ。 (こりゃ、ヒデキもそのうち骨を折ったりするんだろうな) 「ヒデキ、ラグビーも楽しくなってきたんだね♪ それじゃ、思いっきりやってごらん」 と言いつつ、心の中では なるべく大きな怪我をしませんように☆ と、祈る私でした。 ヒデキは、4月から正式にラグビースクールのメンバーになります。ヒデキ、試合デビューと初勝利、おめでとう! ひなたまさみ (ヒデキは上段、3番と11番の間です) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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