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テーマ:柔道最高!(453)
カテゴリ:柔道
みなさん、こんにちは
昨日は息子ヒデキ(小4)の柔道の試合でした。 会場は、東京三鷹にある松前少年柔道場。 ヒデキは4年生の重量級でのエントリーでした。 結果は… 一回戦敗退。 前日の夜から緊張していたヒデキは、本番でもカッチカチ。 何もできないうちに転び、押さえ込まれての、あまりにもあっけない一本負けでした。 試合前から、対戦表を見ながら自分の対戦相手を探し、 「ママ、オレの相手、わかったよ。 オレよりでっかくて、帯の色もずっと上だった どうしよう、負けちゃったら…」 と言ってきたので、 (こりゃ、ダメかも?) とイヤな予感 「負けたっていいじゃん。 自分の持っている力を精一杯出せたら、たとえ負けても気持ちはスッキリするでしょ?」 と言って送り出し、あとは祈るような思いで見守るしかありませんでした。 (それにしても、あんな負け方をしちゃうとはねぇ~) 朝の3時から起きてお弁当を作り、5時にはヒデキを起こし、パパもビデオの準備をし、一日がかりで出かけたのですが、ほんの数秒で終わってしまい、しかもその内容が、気持ちで負けていて、技もかけないうちに終わったとなると、流石にガックリして、疲れがドッと噴き出してしまいました。 普段の練習を見ているだけに、親の贔屓目だとは思いますが、 (ちょっと、ちょっと! いくらなんでもあんたはそんなに弱くはないでしょ~?) と思ってしまったり、 (でも結局、緊張して力が出せないなんて、言い訳だよね~。 みんなその中で精一杯やってるんだから) と考え直したり、 仲間たちが、普段の練習どおりに力を出し切って戦っている様子を観ては、 (ヒデキがこんな風に平常心で戦える日なんて、もう永遠に来ないのかなぁ~) なんて悲観的になってしまったり… あ、「決勝で会おうぜ!」のT君は、負けてしまったものの、精一杯の戦いぶりで、カッコよかったです♪ ああ、これが柔道漫画だったら、そろそろヒデキもこの気弱さを克服して、ガンガン勝ち進む…なんていう展開が期待できそうですが、現実はそんなに甘いもんじゃないですね~(笑)。 ヒデキはいつものように泣きながら私の元へ来ましたが、私にもかける言葉が浮かびません。 「緊張しちゃった?」 「うん」 「何もできなかった?」 「うん」 「ヒデキ、これもいい経験だよ…」 最後の言葉は、自分自身へ言い聞かせるためのものでもありました。 3・4年生の試合が始まると、いつの間にか控え室から応援に来てくれていた5・6年生の先輩たち。あとで、廊下でしょんぼり首をうなだれているヒデキのそばを通りかかったのは、ヒデキの憧れの先輩、6年生のK君。普段からどちらかというと無口なK君は、何も言わず、ヒデキの肩をポンポンと2回叩いて、通り過ぎていきました。 (K君、ありがとう) と、心の中でK君に感謝する私。 控え室へ行くと、今度は松前(東京)の6年生で、K君の長年のライバルと言われていた(こちらも)K君が、 「おっ、(試合)どうだった?」 と、声をかけてくれたとか。 ヒデキが、 「負けた」 と答えると、 「あ、そう…」 短い会話だったけれど、初めて声をかけてもらえたことが、とても嬉しかったようです。 (ヒデキは、本当に素敵な先輩たちに恵まれているね) 結局、湘南松前の子どもたちは誰も賞をとれないまま、いよいよ5・6年生の試合。次から次へと先輩たちも負けてしまう中で、たった一人勝ち残っていたのは… そうです! みんなの希望の星、6年生重量級のK君です。 最近K君は何かの強化選手に選ばれたらしく、土曜日になると横浜まで稽古に出かけているそうです。これまでの茶帯を外し、強化選手と書かれた白帯が光ります。 後輩達が見守る中、ついにK君は決勝戦まで勝ち進みました。 相手は松前柔道塾のY君、昨年の優勝者です。 試合は、予想以上の死闘となりました。 2分間の試合を終えて、引き分け。 そのまま延長戦となりましたが、最終的には判定で負けてしまいました。 K君は惜しくも銀メダル。 なかなか勝てない湘南松前の子どもたちも、自分たちに強い先輩がいてくれることを誇らしく感じたようです。 帰りの電車で、私はK君と一番仲良しの6年生、S君のお母さんと隣の席になり、たくさんおしゃべりをしながら帰ってきました。 S君もK君も幼稚園の頃から柔道を始め、何年間も試合に出ては負けて帰る、を繰り返していたそうです。湘南松前少年柔道塾はいつも書いているとおり、「試合で勝つ」ことより「子どもたちが柔道を好きになるように」に、より焦点を絞った指導をしている道場で、稽古は週に1回か2回、試合数も決して多くはありません。我が子に本気で強くなって欲しい保護者は、別の道場に移ることもあるそうです。 「でも他の道場では、先生方も強い子やセンスのある子だけに目がいきがちだったり、ってよくあるそうだけど、ここではそれがなかったのよね。 (こんなに弱い子を出して、道場の恥になるんじゃないかしら?) なんて思うときも、N先生はいつでも、 “試合に出る、ということはチャンスですから。 勝っても負けても、その子にとっては良い経験になりますから“ って言ってくださって、負けてしまった子には特に優しく声をかけてくださったのよね」 話すうちに、私もヒデキが柔道を始めた頃のことを懐かしく思い出しました。思えばヒデキが柔道を始めたのは、去年のことでした。 初めて東海大の武道場へ連れて行ったときは、大学柔道部の大きなお兄さんたちを一目見るなり、怖くて脱走したヒデキは、稽古の途中で私の姿が見えなくなると泣き出してしまうほどの甘えん坊でした。そんな息子が柔道を好きになれたのは、やっぱり最初にN先生が温かい言葉をかけながら丁寧に指導してくださったおかげでした。 去年のブログを読み返してみると、去年の今頃は、先に柔道を習い始めていた同じ3年生の仲間の中に苦手な子がいるから、と泣いて稽古を休みたがったり、塾内の練習試合では緊張しすぎて、何人もの同級生たちにあっけなく負けたりしていました。 あの頃の私は、今と同じように (この子があの子たちに勝てる日なんて、永遠に来ないんじゃないのかな?) なんて思っていたものでした。 高学年のクラスに入れてもらえたときも怖くて泣き、中学の稽古に残る決心をしてからも、大きな先輩達を見ると、脱走しては泣いたり、お腹をこわしてトイレに駆け込んだりしていたヒデキは、今でも新たな緊張に出くわすと、必ずトイレへ直行していますが、時間をかけながらひとつひとつ、乗り越えているようです。 1年半が過ぎ、今のヒデキは「同じ道場の4年生なら、誰にも負けない!」と言い、塾内の試合では、自分なりに力を出して戦うことができるようになりました。先月の試合では、団体戦の先鋒として出場させてもらい、最初の試合では思うように動けなかったものの、午後からの試合では自分らしい戦いができたのも記憶に新しいところです。 そうだよね~。 みんなもう何年も試合に出続けているのに対し、もともと気の弱いヒデキが柔道を習い始めたのは去年だし、試合に出始めたのは、ほんの数ヵ月前のこと。まだ大会も今回が4回目だったもんね。それでも少しずつかもしれないけど、ちゃんと成長してるじゃない? 今の時代は、大人も子どもも、みんな忙しいですね。 時間に追われ、早く結果を出すために必死になっています。 こんな時代だからこそ、親の側に「じっくり待つ子育て」というのも必要なのかもしれません。まぁ、娘のおかげでそんなことを考えるようになったのですが…。 子どもたちの成長の芽の中には、すぐには結果が出ないこともたくさんありますね。 そこで叱ることもできますが、じれったいけど、私はやっぱり自分の内側から何か強い意志のようなものが生まれてくるのを待ってあげることも大切なような気がします。 自信の持てない子どもに 「もっと自信を持って、しっかり頑張りなさい!」 と言ってしまうのは簡単ですが、その言葉を聞いた子どもが、それだけで自信がつくとは思えません。 ヒデキにしても、自分自身で、 「もっと強くなりたい!」 「今度こそ、緊張しないで戦いたい!」 と、毎回心に誓っているようですが、いざ本番になるとなかなかそうならないもどかしさや悔しさを、繰り返し味わっているようです。 これを克服していくためには、もっともっとたくさんの稽古や試合の経験を積んでいくしかないのだろうし、それにはきっと、たくさん時間が必要なんだろうと思います。 そんな息子を見ていて、 (こんなに思うように勝てなくて、柔道が嫌いにならないのかな?) と私は思うわけですが、帰る頃になってようやくエンジンがかかったヒデキは電車の中で、みんなに飴を配ってまわり、憧れのK君からお礼にもらったお菓子を、 「やったー! 伝説のお菓子だぜ!」 と言いながら、同級生たちと分け合い、スーパーでは珍しく菓子パンを欲しがったかと思うと、 「これはK君の大好物だしな~! これを食べたら、オレもK君みたいに強くなれるんだぜ」 と言いながらパクパクそのパンを食べていたり… (いや、マネするのって、そこからですか~?) まだまだ、これから気が遠くなるほどの時間がかかりそうな感じですが、それでも息子の中に柔道への憧れ、情熱の火が灯っている以上、私はこれからも息子を応援していこうと思っています。 ひなたまさみ PS:塾友杯では、アテネオリンピックの金メダリスト(ギリシャの選手)の模範演武や、竹内三統流柔術の演武と解説などもしていただいたり、とても貴重な時間を過ごすことができました。本当にありがとうございました! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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