カテゴリ:島・旅
トルコ旅行中は、広い国土を毎日数百キロのバス移動をしていました。
その間にトルコ人ガイドF氏は、様々な話を聞かせてくれました。 トルコの情勢、文化風俗、自分の家族のこと、こどもの頃のこと。 民族舞踊を学び、首都アンカラ大学で経済学を修めたという、彼の話は広範囲に渡っていて、 エーゲ海・シルクロードと車窓からの眺めも美しく、長丁場も楽しく過ごせました。 以下に、メモした話を少し書かせていただこうと思います。 点線で囲まれた部分、写真下及び括弧内はわたしのコメントです。 車窓からの綿花畑 <基礎知識> ・農業人口が40%を占める農業国で、自給自足 特産物は、綿花、砂糖大根、じゃがいも、さくらんぼ他 EUに加盟が実現した際には、八百屋的役割を担う ・EUに加盟するために政治制度改革を進めている ・新義務教育制度は5・3・3の11年で、公立なら無料 ・イスラム圏では最初の1930年代から、女性に参政権がある ・イスラム教徒が99%、そのうちシーア派35%、スンニ派65% ・男性は、18歳から18ヶ月の兵役義務がある 学生・外国居住者は35歳まで延期でき、学生は8ヶ月、外国居住者は1ヶ月に短縮できる ・1999年に発生した2度の大地震で死者約2万人 ・観光客年間1400万人、うち日本人は8万人 →詳細労働事情はこちら トルコ国旗 10月29日は共和国記念日だった <イスラム教> --- 毎日、各地で早朝から礼拝の刻限を知らせるアザーンが聴こえてきました。 ちょうど断食月だったので、日中は飲まず食わずで木陰に座る男性たちなどを見かけました。 F氏はシーア派なので、この時期は断食せず、別途12日間行うそうです。 以下にはその見地からの話があるかもしれません。 --- コーランの解釈は十人十色で、国によっても違う。 トルコのイスラム教はソフトなので、他国から認められていない。 イスラム教は最後にでてきた宗教だからソフトで簡単。 ・五行 1:何かするとき唯一神アッラーの名を呼ぶ(信仰告白のことか) 2:礼拝は1日5回。砂漠なのでそのつど洗い清める。 5:00~6:00 めざまし、立ったり座ったり朝のスポーツのよう 昼食後 15:00~16:00 昼寝はしないで 夕食後 21:00~22:00 おやすみ 3:ラマザン1ヶ月。 正しくは、日中飲食せず、日の入時1回のみパンとオリーブを食べる。 現在は、日の出前と日の入時2回ごちそうを食べるから、食べて寝るので太る。 4:喜捨。年一回、財産の1/40。 5:巡礼。一生一回サウジのメッカ、カーバ神殿へ巡礼する。 貧しければ免除される。 ・元々、コーランに書かれていないが、マホメットの模倣か土俗習慣である決まりごと 4人妻帯 →元々女性を守るため。 戦乱の世は、未亡人が多かったし、女の赤ちゃんは殺したから。 女性はスカーフで隠す →コーランには、女性は胸から膝まで、男性は腰からひざまで隠せとしかない。 元々男性のあごひげ同様砂漠生活で身を守るためのもの。 神殿の女性はスカーフをしていた。 現在のトルコでは、公務員・学生はオンタイムのスカーフ着用禁止。 アルコール禁止。 →当初は飲んでいた。 暑いところで飲んで寝込んだら死ぬこともあるため。 豚肉禁止 →頭を落としても血が流出しないから腐りやすく、砂漠に適さない。 (ちなみに、F氏は外国では豚肉を食べるそう) 朝焼けのブルーモスク <トルコ人の特徴> 元々中央アジアから移住した遊牧民。 ヨーロッパの気質にアジアの習慣を併せ持つ。 (ヨーロッパの気質、について説明はありませんでした) 家では靴を脱ぎ、目上の人を敬い、旅人をもてなす。 男尊女卑。特に東部はキツく、女性は家から出られない。 こどもたちは人なつっこく元気いっぱい <結婚事情> 結婚平均年齢は男性22歳、女性18歳。 見合が多く、駆け落ちすると女性が殺される。 --- ある村に通りかかったとき、屋根の上にガラス瓶が置かれていました。 その理由は何か、とF氏がクイズを出しました。 --- 答えは、未婚の娘がいる印。 結婚したい男は、その家の周りをぐるぐる回り、娘の顔を見る。 母親に許可をもらい、ツテを頼ってその家に茶を飲みに行く。 娘は、OKなら着飾って出て行き、NGなら普段着。 また、OKなら甘くておいしいコーヒーを淹れ、NGなら塩を入れる(!) ・伝統的結婚式は夏場の金、土、日の3日間。 何組かで合同結婚式もある。王族は40日間。 1日目:(婿側)嫁側とは別々に祝い踊る。嫁側に羊を贈る。 (嫁側)婿側とは別々に祝い踊る。 2日目:(婿側)親戚の女性が、嫁側に嫁入り道具を取りに行く。顔を見る。 (嫁側)絨毯、レース編み、飾った新居などを用意する。 3日目:(婿側)友人とハマムに行き、床屋で髭を剃る。モスクで祈る。 (嫁側)ヘンナで手を染める。ベールを被る。 そして、婿側が友人と共に踊りながら嫁側に行く。 友人が婿の背中を叩く。 5つのプレゼントを渡す。(5つの中身は聞いてません) あとは2人の世界だそう。 ナザール、トルコの魔除けの目玉 カッパドキアの街路にも埋め込まれていた 以前もらってから気に入っていて、いつも身につけています <ハマム> --- 蒸し風呂式の共同浴場。 イスラム教では体を清潔に保つことは重要。 トルコではアカスリサービスが頼めます。 ちなみにわたしの母はホテルでチャレンジしましたが、わずか5分で終わりました。 あとで聞くと、風呂が壊れていたそうです。 --- 東部では、ハマムは今でも重要な社交場。 男性と女性は別々に行く。 女性は、普段自由に出かけられないので、ハマムに行く日を楽しみにしている。 何日も前から親戚の女性たちなどと約束をし、当日は着飾って出かける。 中では、裸のまま1日中過ごし、踊ったりしている。 男子禁制だが、7歳までの男のこどもは入ることができる。 (F氏も実際母親と一緒に通っていた) 母親たちは、ここで息子たちのためにいい娘を品定めする。 そしてどこの娘なのか確認し、ツテを作って後日お茶を飲みに行く。 (普段、ベールで顔を隠しているが、ここでは裸ですものね・・・) --- その他、いろいろな話を聞くことができました。 F氏は、トルコ人は日本人に好意を持っているが、日本人はトルコのことをあまり知らない。 だから観光を通して、少しでもトルコのことを知ってほしい、と語りました。 トルコと日本の友好の起源、エルトゥールル号事件と山田寅次郎についてはこちら↓ エルトゥールル号事件 イラン・イラク戦争時に、トルコ政府がテヘランにトルコ航空機を派遣し、 在イランの日本人を救出してくれたのは(日本の航空会社が躊躇したのに?)、この事件の恩返しだといいます。 わたしは、今回聞くまでこの経緯を知りませんでした。 メヴラーナ博物館で、「日本人大好き!」とトルコ語で一生懸命話しかけてくれた、 かわいい女の子の顔が思い浮かびます。 この旅行中、トルコの人々はわたしにとても良くしてくれました。 わたしも、トルコのことが好きになりました。 聖母マリアの家では、クリスチャンが祈りを込めて布を結び付けていく レストランの庭にいたニワトリの足に毛が生えていた 店員の兄さんが、明日食べる、と冗談を言ってた クモよけにあちこちにダチョウのたまご 朝食弁当 カッパドキアで気球に乗る前に早朝食べた キュウリがまるごとごろん キャベツが巨大 奥のレタスと比べてみるとよく分かる 墓ばかりの死者の街の住人は、今ではトカゲだけ ぴょこぴょことちいさな頭がふたつ →参考文献「イスラームとは何か」小杉泰著、講談社現代新書、1994年 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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