おにいやんの日記

　離婚した元妻は三十過ぎには想えないほど精神年齢の低い女性だった。金銭感覚に乏しく、社会性も低い。夫は中小企業の社長。終日お客と従業員に気を遣い、疲れ果てて帰宅するのはいつも夜遅くになる。妻は、夫の苦労をよそに、ブルガリ、エルメス、フェラガモ、ルイビトン、ティファニーetc 高級ブランドの洋服、靴、バッグなど物品を買いあさり、小型の室内犬を宝物のようにして気ままに暮らす毎日。親戚のつき合いには顔を出さないから、畢竟、親族との折り合いも悪い。夫は、妻と親族との間に入って気苦労が絶えない。夫が築きあげた取引先に対しては「社長夫人」を気取るものだから、取り繕うにも気を遣う。妻の人間関係は決して良好とはいいがたいのだが、そんな事に気づく女性ではなかった。
　贅沢な生活も馴れてしまえば当たり前になり、不満ばかり口にする。ついには夫婦に子供ができないのは夫のせいだと、不能者呼ばわりするようになった。こんな夫婦関係が長続きする筈もなく、もはや愛想をつかした夫は妻に三行半を突きつけた。